日本経営管理教育協会が見る中国 第440回--磯山隆志

■アリババグループとは

 アリババグループは中国最大手のECサイトを運営する企業である。ジャック・マー氏によって1999年に創立されてから成長を続けており、2014年にはニューヨーク証券取引場に上場を果たした。2016年3月期の決算では流通総額が約51億円となり、アメリカのウォルマートを抜いて世界最大の流通企業となっている。
 アリババはBtoC、BtoB、CtoC、それぞれのECサイトを運営するほか、越境ECのサイトも運営している。BtoCの天猫Tmallは約5万の出店者がおり、会員数は約6,500万人とされる中国最大のオンラインショッピングモールである。日本の企業としてはユニクロなどが出店している。その越境ECである天猫国際は海外の正規品を購入できるということで信頼が高く、50カ国以上から商品の購入が可能となっている。日本からはイオンやマツモトキヨシなどが参入している。

■日本の百貨店として初の進出

 三越伊勢丹は11月から日本の百貨店としては初めて天猫国際に参入した。品揃えの中心となるのは三菱伊勢丹グループの独自商品であり、この出店により、WEBとリアル店舗での品揃えやサービスを融合し、新規顧客獲得や収益拡大を目指している。アリババでは2009年から11月11日の「独身の日」に24時間のセールを開催しているが、このセールは世界最大のショッピングイベントとされる。今年は取引額が前年比54%増の約1兆7,600億円となり、過去最高を記録したことが話題になった。三越伊勢丹では11月25日のブラックフライデーのセールに合わせて、本格的に商品展開を開始している。

 日本百貨店協会によれば10月の全国百貨店売上高は8ヶ月連続で前年同期比マイナスになったとされる。三越伊勢丹も2017年3月期の連結営業利益の予想を下方修正した。この背景の一つとして訪日外国人による、いわゆる「爆買い」の減速があるとされる。「爆買い」は昨年の流行語にも挙げられたが、円高や中国での関税引き上げにより、客単価が減少するなど購買行動が変化したといわれる。

 多様化した消費者のニーズに対して、百貨店というビジネスモデルが合わなくなったといわれるようになってから久しい。かつては百貨店に行くことが庶民にとって楽しみの一つであった。しかし、近年では百貨店の閉店が相次いでいる。三越伊勢丹でも2店舗の営業終了を発表し、さらに4店舗の閉店や売場面積の縮小などを検討しているとされる。今回の進出が「爆買い」終了後の百貨店にとって新たなビジネスモデルを提示できるか注目される。(執筆者:日本経営管理教育協会・磯山隆志氏 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(写真は三越日本橋店、日本経営管理教育協会が提供)