台湾の蔡英文政権が福島県など5県産食品の輸入規制を緩和する姿勢を見せたことについて、台湾島内で大きな議論が巻き起こっている。中国大陸寄りの野党・国民党が強い反発を示し、国民党との接近で台湾に対する影響力を強めたい大陸のメディアがその反発ぶりを大々的に報じている。

 中国メディア・中国台湾網は2日、蔡政権の動きに対して国民党の立法院議員団が1日に、「放射能食品反対」の署名活動を開始したほか、国民党関係者から「日本は台湾人の命を毒している」などといった過激な発言が出ていることを報じた。

 記事は、国民党の議員団が開始した署名運動が島内34カ所の市場でそれぞれ行われる見込みであると紹介。また、1日に台湾政府・行政院が主催した日本の輸入食品の安全問題に関する公聴会の予備会議において、一部市民が「台湾は日本の植民地ではない」、「蔡氏には夫も子どもいないからいいかもしれないが、われわれには親も子もいる」などと声を荒らげて抗議するシーンが見られたと伝えた。

 さらに、11月29日に台北で開かれた日台経済貿易会議において、日本側の交流協会会長である大橋光夫氏が「一部根拠のない発言で、日本人の心は傷ついている」と発言したことに伝えたうえで、国民党の立法員議員が「台湾が日本の心を傷つけているなら、日本は台湾の命を毒している」と批判したことを紹介。元衛生署長の楊志良氏が台湾メディア・聯合報に対して「台湾の内政に四の五の言うのは極めて失礼。歴史的に見て、日本人ばかりが台湾人を傷つけており、台湾人が日本人を傷つけた事例など見当たらない」などと反発する文章を寄稿したことを伝えている。

 一般の消費者が自分や家族の健康を案じ、より安全で安心な食品を摂取するのを望むこと自体は、至極真っ当な要求と言える。しかし、その真っ当かつ自然な消費者の要求を政治の道具として利用するのであれば、それは看過できない問題だ。大陸メディアが発したこの記事では、日本の食品輸入に対する、市民の不安や不満の声ではなく、大陸と国民党の仲の良さばかりが目立つ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)