人口の高齢化が進むに連れ、いかにして豊かな老後の人生を過ごすかというテーマが日常的に議論されるようになった。それは個人的な問題ではなく、社会全体が考え取り組むべき問題だ。文部科学省では毎年「長寿社会における生涯学習政策フォーラム」を開き、生涯学習を通じた高齢者による地域活性化あり方の模索が行われている。

 これは、同じく急速な高齢化が進む中国にも共通する問題だ。中国メディア・光明日報は28日、日本における生涯教育の取り組みについて紹介する記事を掲載した。記事は、高齢者の増加を社会の負担と捉えず、貴重な資源としてとらえるべきであり、生涯学習を通じて高齢者が再びライフスタイルを選択できるような社会を作り上げるべきだとする、中国人民大学公共管理学院の専門家による見解を紹介。その実現には長期的な模索が必要だが、日本の経験が参考になるとしている。

 そして、日本の生涯教育が1950年代に「老人クラブ」という形態からスタートし、60年代には「老人福祉法」が制定され、地方自治体による「老人クラブ」の支援が明文化されたと説明。やがて各地に3割教育、7割娯楽という「シルバー大学」が誕生していったとした。また、70年代には高齢者の再就職への動きも高まり、75年には東京で「高齢者事業団」が初めて作られその後全国に広まっていったと伝えた。

 さらに、90年代には「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」が制定され、都道府県単位による生涯学習の振興が提唱されるとともに、高齢者が自らの経験をさらに発揮できる機会づくりが進められたと紹介。少子高齢化が現実のものとなった2000年代に入ると、長寿社会において各個人による積極的な人生設計を提唱する「100年人生プラン」が作られたとしている。 

 そして、日本ではこのような取り組みによって、現在高齢者が学ぶ機会がとても多くなっており、大学の正規教育から、コミュニティの趣味サークルまで様々な場所で、健康教育や娯楽といった幅広いジャンルでの学びが可能であると説明。各種の学びを通じて定年退職後に第2、第3の仕事を探すことも、ボランティアとして自らの価値を体現することも可能であり、多くの高齢者が喜びを感じているとする同大学の専門家の話を伝えた。

 現在の日本は、「高齢化社会」という新たな時代にマッチした社会モデルを模索している過渡期の段階と言える。医療や介護、自動車運転など実に多くの課題を抱えているが、この先少しずつ社会全体が適応していくのではないだろうか。「社会にとっての負担ではなく、貴重な資源」という前向きな捉え方が、高齢者に優しく、高齢者が積極的に参加できる社会の構築に向けた原動力となるはずだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)