「宝の持ち腐れ」という言葉がある。せっかく素晴らしい物を持っていても、それを使わないことを指すものだが、今の中国社会における伝統技術やその継承者が置かれている状況を表すのにピッタリな言葉かもしれない。

 中国メディア・今日頭条は23日、「中国の『匠』が社会において存在感がないのはなぜか」とする記事を掲載した。記事は、「認めたくない事実」として中国に存在する「匠」と称される技術者が「極めて存在感の低い人たち」になってしまっていると説明。メディアはここ数年で「匠」のドキュメンタリー番組を放送するようになっているが、社会では依然としてその精神を崇拝するムードが起きていないとした。

 一方で、欧米諸国では熟練の技術を持つ人がリスペクトされており、彼らは良い収入や社会的地位を獲得しつつ、製品が自らの手で高められていく快感を享受しているのであると紹介。このムードがある故に、「伝家の宝」と言うべき珠玉の作品が続々と生み出され、100年以上の歴史ある企業が誕生するのだと論じている。

 また、中学校を卒業して技術を学ぶことに対して、中国では「成績の悪いやつが生きていくための道」と軽んじられるのに対して、腕時計の製造で有名なスイスはより多くの人が自らその道を進もうとすると説明。そこには「匠」をリスペクトする姿勢があり、学校も子どもたちを早い段階で実技を身に着けるよう指導するのであるとした。そして、師匠のもとでの数年間に及ぶ修行を経て、高級腕時計の製造技術に従事するようになるのだと伝えた。

 記事は最後に、「われわれに不足しているのは『匠の精神』ではない。『匠の精神』に対する社会の評価、そして『匠』に対するリスペクトが足りないのだ」と結んだ。

 せっかく優れた技術を持っていても、社会がその価値を認めなければまさに「宝の持ち腐れ」になる。市民からのリスペクトは必要だが、単に「素晴らしい」といった口先だけの尊敬では彼らは生きていくことができない。彼らのモチベーションを高めるためには、その技術に見合うだけの経済的な保障を与え、安心して自らの技術を高めることに専念できる環境を作らなければならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)