これまで純粋な「乗り物の機械」として発展してきた自動車産業が今、大きな転換期を迎えている。それは、インターネット技術との融合であり、いわば「知能を持った自動車」の実現に向けたシフトチェンジであると言える。その最たるものは、自動運転技術の取り組みだ。

 中国メディア・第一財経は20日、「世界における自動車産業の変革の中で、トヨタが積極的に変化を求めている」とする記事を掲載した。記事は、先月にトヨタが発表した1-9月度の世界販売台数が752万9000台と、ドイツのフォルクスワーゲンを下回る結果となったことを挙げ、「これは世界の自動車産業の変化が大きくなり、競争が激化するシグナルかもしれない」と説明。「世界のトヨタ」のライバルには欧米の大手自動車メーカーのほか、グーグルやテスラなどIT分野からやって来た新鋭勢力も含まれるようになったことを伝えている。

 そのうえで、今年10月にはトヨタがBMWなどとともに、米国のITベンチャー企業・Nautoへの出資、スズキとの自動運転技術やエコカー分野での技術開発協力が明らかになったと紹介。さらに、今年初めには米国に人工知能やロボット技術を研究する研究所を設立したことを伝え、これらの行動は「トヨタが積極的に自動車産業変革の波に身を投じていることの表れだ」と評した。

 記事は、IoTやクラウドコンピューティング、ビッグデータといった新技術をメインとする自動車産業の変革が、世界一流のIT企業を持たず情報化が遅れているという国内事情に加え、自身がIT産業の発展に向いた生産、組織のスタイルではない日本の自動車メーカーにとっては不利な状況にあると指摘。トヨタの最近の行動は「伝統を打ち破ろうとする気概や野心が表れている。ITやデータ利用、人工知能といった技術的な不足点で飛躍を遂げようと努力するとともに、国を超えた協力や技術共有という研究開発モデルへの転換を進めている」と論じた。

 そして、トヨタの戦略上の調整は、必ずや世界の自動車産業の競争をさらに激しいものとさせ、自動車産業の変革の波をさらに力強いものにするはずだ、と結んでいる。

 これまでドライバーが経験や知識から判断してきたことが、これからは次々とコンピューターの仕事になっていくことだろう。自動車を安全に運転するうえで必要十分な判断力を持つことができない高齢者などにとって、自動運転技術や人工知能システムの発展は福音と言える。一方で、ありとあらゆることをコンピューターに頼りきってしまえば、人間の能力がどんどん退化していってしまうのではないか、との懸念もある。今から20年後、30年後の自動車社会はどんなになっているだろうか。ドライバーはほとんど「座っているだけ」の状況になっているだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)