日本経営管理教育協会が見る中国 第438回--水野 隆張

■安部晋三首相が世界の首脳に先駆けてトランプ氏と非公式会談

 安部晋三首相は2016年11月17日、ニューヨークで次期大統領に選出されたトランプ氏と会談した後に会見し、トランプ氏との会談について「ともに信頼関係を築いていくことができる、そう確信の持てる会談だった」と評価し、中味について具体的な言及は避けたが「私は私の基本的な考え方について話をした。様々な課題について話をした」と語った。

 また、「2人で都合のいいときに再び会って、さらに広い範囲について、より深く話をしようということで一致した」とし、時期をみて再会談することを明らかにした。日米関係については「同盟は信頼関係がなければ機能しない。次期大統領はまさに信頼することが出来る指導者だと確信した」と述べた。トランプ氏は政治に関しては未経験だが、有能なビジネスマンであることには間違いない。ビジネスでまず求められるのは双方の人間的な信頼関係である。

 人事関係の手配で超多忙なトランプ氏との間で90分も会談ができたことは一応の成果とみてよいであろう。海外メディアも今回の会談を選挙中にトランプシが過激な日本批判をしていただけに一応日本政府の不安を打ち消したとの評価をしている。但し、中国メディアだけは慌てて会談に臨んだ安倍首相については日米関係への自信の無さを表していると批判している。

■トランプ氏が習近平氏と初めて電話会談

 国営新華社通信によると、中国の習近平国家主席は2016年11月14日、米国のトランプ次期大統領と初めて電話会談をしたと報じている。習近平氏は米大統領選での当選に祝意を述べた上で、両国の協力には重要なチャンスと巨大な潜在力があると指摘し、「中米関係はきわめて重視しており、米国側とともに関係推進に努力したい」とよびかけたという。また、「双方が協調を強め、各分野での交流や協力を広げていきたい」とも訴えたということである。

 新華社通信によると、これに応じてトランプ氏は「習近平氏の米中関係の見方に賛同する」とし、「中国は偉大で重要な国家だ。あなたと一緒に米中両国の協力を強化したい。関係がさらに発展できると信じている」と述べたということである。しかしながら、トランプ氏側はカ会談内容を何ら明らかにしてはいない。トランプ氏は大統領選で中国が輸出を有利にするため、人民元安に誘導しているとし、中国を「為替操作国」に認定すると公約した。

 中國では、中国製品に高い関税を課すと主張してきたトランプ氏の保護主義的な姿勢に警戒感が広がっているが、電話初会談では、ひとまず協力という原則論が確認されたとみられている。

■トランプ氏との良好な関係を維持して中国とも敵対的な関係を改める必要がある

 トランプ氏は日本に対しても中国に対しても選挙中の激しい日本批判と中国批判とは打って変わって選挙後は穏やかな発言に変わってきている。しかしながらこのことをそのまま安易に信じ切っては後で大いに判断を誤ることになるであろう。

 トランプ氏は選挙中に力強く主張していたことは「偉大なるアメリカを取り戻す」というスローガンであった。この主張を貫くためには妥協を許さない厳しい交渉姿勢を続けるに違いない。日本政府としてはこれまで以上にトランプ氏との良好な関係を維持しながら中国に対しても穏やかな関係を築き上げるべきであろう。

 かってトランプ氏は「朝鮮半島で戦争が起こっても、アメリカは関わらない。日本と韓国にはグッドラックだ!」と発言したことがある。

 これからは何かあったら日米安保条約によりアメリカが日本を守ってくれるであろうという安易な考えは持てなくなり「尖閣のような無人島を守るためにアメリカ兵の血を流すことはありえない!」と考えを改める時が来たと覚悟すべきであろう。(執筆者:日本経営管理教育協会・水野隆張氏 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(写真は、2007年の北京天安門広場。日本経営管理教育協会が提供)