日本経営管理教育協会が見る中国 第437回--坂本晃

■投票総数ではクリントン氏が上回る

 執筆時現在知り得たデータによると、2016年11月8日(火)に行われた第45代米大統領選挙での得票総数は、民主党のクリントン氏が6,027万票で、共和党のトランプ氏5,993票を上回った。しかし、結果として選ばれたのはトランプ氏であった。

 この現象は日本においても見られる。各党に対して有権者が投じた投票総数と、結果として選ばれた議員総数が比例しないのだ。

 人類はその誕生以来、世話をしてくれる人をどのようにして選ぶか、試行錯誤を重ねてきたが、君主制以後の民主主義社会では、多数決主義が中心である。その結果少数の人々の権利、とくに國などに國の費用を税金で払っている人たちへの配慮も欠かせず、政策面で対応を図ってきた歴史がある。

■獲得した選挙人数でトランプが上回った

 投票総数は前記の通りであったが、アメリカの大統領選挙制度では、国民は、直接大統領を選ぶのではなく、中間の選挙人と呼ばれる人を選ぶ仕組みだ。選挙人の選挙によって最終的に大統領が選出される。

 選挙人の総数は538人で、各州に割り当てられている。多くの州では、その州の選挙人は全員がどちらかの候補を選ぶ制度になっている。

 選挙人の過半数270名を上回ると当選となる。トランプ氏は290人、クリントン氏は232人を獲得した言われている。

■隠れトランプ支持者が多数いると嗅ぎつけたトランプ氏

 オバマ大統領は「変化 chang」を訴え2008年に当選した。以来、実施してきたことを既得権化してきた国民は現状維持を支持、一方、取り残された国民は変化を求めよう。

 既存のマスメディアは、与党に組することでビジネスが成立している例が多い。もちろん変化を求めろ層の希望も入れないと公平にならず、それなりの対応をしている。もちろん今回の場合、いわゆる隠れトランプ支持者の存在をマスコミ社内では掴んでいたと思われるが、それの公表は困難であったろう。

 トランプ氏は、従来の國といういわば地域独占の仕組みの元での政治家に対して、市場経済で不動産王と呼ばれるような人生を歩んでおり、国民のお金に対する感覚を嗅ぎつける能力、さらにテレビの司会者経験などを通じて、視聴者をどのように捉えるかの感覚を磨き上げていたであろう。

■調査の専門家の登用と集会数で上回るドブ板作戦が勝因へ

 トランプ氏のブレーンの存在が不透明と言われる中、選挙戦の途中で、調査の専門家を登用し、その意見を取り入れたことが、成功のひとつの大きな要因ではないかと思われる。

 人々の本音を聞き出すことは容易なことではない。長い時間が必要なこともあり、瞬間に判明することもある。

 選挙では握手の数が大事と言われている。トランプ氏がクリントン氏よりも多くの集会を実施して、人脈の形成に努めた結果とも言えよう。

 政治における民主主義の大原則、多数決について、人類が今後、どのように対応するのがよいか考えさせらた今日である。(執筆者:日本経営管理教育協会・坂本晃氏 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(写真は日本経営管理教育協会が提供)