サッカーにおいて、国内リーグが盛んで世界的にも高レベルな国というのは、往々にしてナショナルチームも強豪だ。しかし、現状でこの「法則」が当てはまらない国が存在する。それは中国である。アジアチャンピオンに輝くクラブチームを持ちながら、中国代表はなかなか世界の表舞台に出られない。

 中国メディア・今日頭条は12日、「日本ユースの父が評する中国サッカー、大きな方向性がすべて間違っている。人材はほぼ枯渇」と題した記事を掲載した。記事は、近年中国サッカー界では湯水のごとく金銭を使う風潮が巻き起こっており、クラブチームはもちろん「万年貧弱な中国代表すらリッピのような名将を招聘した」と紹介。一方で、「いささか恥ずかしいことに、中国サッカー全体のレベルに明らかな改善が見られていない」とした。

 そのうえで、日本を始めとする各国で青少年サッカーの指導に携わり、日本代表MF香川真司選手を発掘、現在は、北京国安と協力してユースプロジェクトを実施しているトム・バイヤー氏が取材に対して「今の中国サッカーは繁栄しているように見えるが、実際の発展の方向性は完全に間違っている」と断じたことを伝えている。

 記事は、トム氏が「中国人は世界で最高の選手やコーチを買えるが、彼らの成功理念を買うことはできない。しかも、クラブは人を買えるが、ナショナルチームはそれができないのだ」と語ったことを紹介。また、12歳以下のユース育成に取り組むトム氏が「日本のU-12サッカーのレベルは世界との差が縮まった。でも中国と世界の差は太平洋ほどある。全国で逸材を探しているのに、出てこないのだ」と嘆いていることも伝えた。

 また、ユースが全く育っていない事を示す「非常に直感的な例」としてトム氏が、ベトナム、ミャンマー、ウズベキスタンなど、アジアの途上国がU-17やU-20のワールドカップに参加するチャンスを得ている一方で、中国にはこれがない点を挙げたことも併せて紹介している。

 そして、金銭でスターを買う一方で、ユース育成に力を入れない中国サッカーは、「ランニングマシーンの上で同じところを走っているだけ」であり未来はないとし、「サッカーは草の根の部分から取り掛からなければいけないのだ」と指摘したことを伝えた。

 中国のサッカー界における「爆買い」は今後しばらく続くかもしれない。ある程度の「爆買い」を経て芽生えるある種の「虚しさ」が、中国サッカーの新たな成長を生み出す起点になることだろう。中国のサポーターたちは、その虚しさを感じ始めている。あとは、当局や各クラブを含めた中国国内リーグ全体がどう感じるかだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)