1986年12月から91年2月の4年3カ月間、日本をある種の熱狂に包んだバブル景気。今年はバブル景気開始から30年という節目の年である。日本国内でも昨今バブル期の生活が「ネタ」として取り上げられるケースを見かけるが、中国では現在の経済状況とこの時期の日本経済と比較する記事や文章が頻繁に発表されている。

 その多くは、その先にある崩壊、経済低迷の前段階としてこの時期をネガティブに捉えたものだが、中国メディア・汽車頭条が9日に掲載した記事は「バブル期に日本の自動車界で名車が続々と出現した」と、ポジティブな立場からバブルの時代を紹介している。

 記事はまず、トヨタのランドクルーザー70が発売開始から32年が経過した今でも人気があり、オーナーから賛辞が絶えないと紹介。「ランクル70」の登場はバブル景気開始前夜の84年末だが、「みんなが考える日本の『絶対的な名クラシックカー』は、ほぼみんなバブル経済の時代に誕生したものなのだ」と説明した。

 その1つ目の例として、89年の東京モーターショーで発表されたコンセプトカー「RAV-FOUR」を挙げた。RVと呼ばれる自動車タイプの代表的な存在であり、レジャーや娯楽をテーマに大胆さや快楽性が追求された設計になっていると解説。バブル崩壊後の94年に発売された初代「RAV4」ではいささか保守的になったことから、「RAV-FOUR」がまさに「バブルの申し子」的なコンセプトカーであったことを伝えた。

 また、この時期には日本のスポーツカーも「空前の繁栄」の時代を迎えたとし、トヨタ・スープラ、ホンダ・NSX、日産・スカイラインGT-R、マツダRX-7といった本格的なタイプに加え、ホンダ・プレリュード、マツダ・コスモ、トヨタ・ソアラ、日産・シルビアなどスポーツタイプのクーペも続々と登場したと紹介している。

 さらに、技術面でも「極めて大胆な試み」が行われていたとし、その一例として「4ドアピラーレスハードトップ車」を挙げた。そして「この時代の日本車は、設計のうえでコストのことをほとんど考えることはなかった」と説明。ある側面において「日本車はバブル崩壊後、確かに退歩したのである」と論じた。記事は、「市場経済という点においては、日本のバブル経済は決して良い事だったとは言えない。しかし、自動車業界という観点から見れば、その後の発展の基礎が築かれるとともに、積極的な理念が数多く生まれた時代なのである」と締めくくっている。

 「出せばとにかく売れる」この時代、新たな技術やデザインへの意欲的なチャレンジも旺盛だった。その時は結果的に失敗したもの、バブル崩壊で葬り去られたものも、現代の日本の「クルマづくり」の中に少なからず生かされているのである。

 今の中国経済が日本のバブル期に似ている、という議論は後を絶たないが、自動車製造という分野だけ見た場合はどうか。中国のメーカーは意欲的に新技術や斬新なデザインにチャレンジしているだろうか。この先に日本のバブル崩壊のような状況が起こるのかは分からないが、中国のメーカーにとっては今が未来に向けて殻を突き破るチャンスなのかもしれない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)Eugene Sergeev/123RF)