日本経営管理教育協会が見る中国 第436回--水野隆張

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は北京で2016年10月20日、中国との外交関係の再構築を進める中、長らく同盟関係にあった米国との「決別」を表明し、「私は米国との決別を表明する」と発言した。先立って、ドゥテルテ大統領は中国の習近平国家主席と人民大会堂で会談。両首脳は南シナ海における領有権問題を脇に追いやり、信頼と友好を強化することを誓ったという。

■中国の経済力に頼らざるを得ない米国

 一方、共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏は同盟関係が基本的に、自国の防衛費を十分に負担できるほど裕福な国に対する慈善活動の形になっていると主張している。

 NHKワシントン支局長を務め、長く米国の外交・軍事戦略を取材し、米国政官界に幅広い人脈を持つ米ハドソン研究所主席研究員、日高義樹氏によると「軍事予算を削減している米国は、日本を守る力も意欲も衰退しており、もはや日米安保条約は賞味期限切れだ」と明かしており、米国民も「自国のことは自分でやってくれ」という態度であり、しかも、国内総生産(GDP)が日本を上回った中國との関係を深めた方が経済的にも得策、という考え方が米国の政府、経済界に広がりつつあるという。

 米国経済は短期的には立ち直ったけれど、累積財政赤字は依然として大きく、ドル体制を維持するには米国債を買ってもらうなど中国の経済力に頼らざるを得ないというのである。

■変貌するアジア情勢には日米同盟の強化が不可欠である

 その中国は、習近平体制のもと、海洋の支配力や近隣諸国への影響力を強めようとしており、南シナ海や東シナ海での緊張を高めている。北朝鮮は核兵器計画を着々と進めている。このような情勢化において、日米関係は、集団的自衛権の限定的行使を可能にした昨年の安全保障関連法成立で大きく変わり、日本の軍事的協力の範囲は拡大することとなった。

 アジアの安保環境が悪化するにつれ、より緊密な日米安保協力がこの地域の平和と安定の維持のために不可欠となる。日本が米国を能力面で補完・強化することで両国はよりよいパートナーとなるであろう。

■予測される「トランプ大統領」の外交政策に備えよう!

 ところが、2016年10月8日に投票日を迎える米国大統領選挙ではドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン候補を追い上げている。同氏は日韓からの米軍撤退を検討し、日韓の核兵器製造を容認するつもりだと言っている。

 これは、世界で最も力強い地域で米国の指導力を低減させる政策と言えるだろう。同氏は米国の同盟国を単に取引相手とみなしており、世界的な同盟ネットワークが安保でも経済でも米国に多くの利益をもたらしていることを分かっていないようである。トランプ氏が大統領になるのは今のところ五分五分だが我が国としては「トランプ大統領」に対する備えを始めるべきであろう。(執筆者:日本経営管理教育協会・水野隆張氏 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(写真は日本経営管理教育協会が提供)