匠の精神の育成――。この方針は2016年3月の全国人民代表大会で発表された政府工作報告に初めて盛り込まれ、中国でも話題になった。中国の李克強首相は、製品の品質を向上させ、ブランドを創造するためには匠の精神が必要だと主張した。

 中国メディアの千龍網は8月29日、細部にまでこだわる日本人と、厳格さと真面目さを持つドイツ人に共通するのは品質に対する執着という「匠の精神」であると指摘する一方、匠の精神は中国にとって決して「舶来品」ではなく、むしろ中華民族がかつて有していた精神であると主張した。

 記事は、紀元前200年から18世紀に至るまでの約2000年にわたって、中国はシルク、瓷器、茶、漆器、金銀器、壁紙などの精巧で美しい製品を世界各国に輸出してきたと紹介。「シルクロードが開かれて以来、古代中国の職人たちが作る製品は世界に大きな影響を与えてきた」とし、古代中国は「匠の国」と呼ばれるにふさわしい存在だったと指摘した。
 
 しかし「栄えていた手工芸は明朝が没落するにつれて衰退した」と説明。その結果、「中国人は自分たちがかつて作っていた最先端の工具や最先端の武器を忘れ、自分たちがかつて勤勉さと知恵のもとで創造した富を忘れてしまった」と主張、匠の精神は明朝時代の終焉とともに中華民族から失われたとの見方を示した。

 中国製品の品質は近年向上しているものの、日本製品の品質に対しては依然として大きな開きがある。現代の中国人はかつて世界の王宮貴族たちに愛された製品を作り、輸出していた民族の末裔と言えるが、文化大革命によって知識人は徹底して迫害し、それまでの文化を否定したことも匠の精神の喪失に拍車をかけたのではないだろうか。中華民族がかつて「匠の精神」を持っていたとしても、現代の中国人がそれを取り戻すのは決して簡単なことではないだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)