中国国営通信社の新華社は9日付で、中国共産党・中国政府が愛国教育を強化する方針を定めたと報じた。学校教育だけでなく、芸術活動、スポーツイベント、観光など、考えられる手段と機会を総動員する。

 具体的は方針は、中国政府・教育部内の共産党組織が発表した。幼稚園から大学以上までの各レベルの各種の学校が、教室の内外、ネット上とリアルで、さまざまなプラットフォームを通じての愛国教育の方式を開拓する。

 SNSも大いに利用し、文化施設、記念館、博物館、観光スポット、解放軍部隊基地などの「資源」を利用し、運動会やスポーツ競技会を活用する。

 学校の授業においては、道徳、国語(中国語)、歴史、地理、体育、芸術などあらゆる教科の指導要領や教材、試験に愛国主義の精神を盛り込む。そして「生き生きとした愛国精神」を広めることに努める。

 大学など高等教育機関では、専門科目の教授内容の「国家標準」と、愛国主義教育を緊密に結合させ、「全方位・全パイプ」で愛国教育を人材育成の体系に融合させる。

 さらに全国の大学生を対象に、「私は祖国を愛す」、「永遠に共産党と共に進む」といったテーマにもとづく社会的実践活動を展開するという。(編集担当:如月隼人)

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◆解説◆
 「愛国教育(愛国主義教育)」に熱心に取り組んだ指導者として、いまだに記憶に新しいのは江沢民国家主席(任期:1993-2003年)だ。当時は1989年の天安門事件の記憶も生々しく、共産党は権威の失墜に対して強い危機感を持っていた。そこで、国民に対しては経済面で豊かになるチャンスを与える一方で、「愛国主義」という、反対意見を出しにくい形での「思想の引き締め」を行った。

 現職の習近平主席も、共産党全体、さらに自分自身の権威の維持については、危機感を持っていると言ってよい。これまでは腐敗撲滅を「特効薬」として、権威の低下を防止してきたが、「第2の特効薬」として、「愛国主義教育」の強化を本格化する可能性がある。

 ただし、江沢民政権時には経済が右上がりだったことがあり、「政治に不満を言うよりも、経済の勝ち組になる方が先決」と考える中国人が多かった。経済成長が減速している現在、「思想引き締め策」がどの程度支持されるかは未知数だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)