韓国の少女グループTWICE(トワイス)のメンバーとして活躍する台湾人の周子瑜さんが、台湾の「青天白日旗」を持って自己紹介の動画に登場したことを「独立派」だと決めつけて騒動を起こした台湾出身の歌手の黄安さんが7日未明、台湾・台北市の桃園空港に到着した。周囲から罵声を浴び、当局からは「中華人民共和国発行のパスポート」を所持していないか取り調べられたという。

 黄さんはこれまでにも、大陸で発生した「汚染大気」が台湾にまで達していた際に「台湾人は大陸で事業を進めて儲けている。大陸には感謝しろ」などと、台湾人による中国批判や、台湾独立志向を、きつい言い回しで非難し続けてきた。

 黄さんが、2015年暮れに発表された「周子瑜さんの動画」に対して、1月になり「青天白日旗を手にした。独立派だ」と言い出したことで、中国のネット民が大挙して、周子瑜さんを非難。周さんは謝罪し、所属事務所が掲示していた「出身地:台湾」は、「出身地:中国台湾」に差し替えられた。

 すると今度は台湾で、周さんの所属事務所や黄への非難/批判が爆発した。中国に対する嫌悪感や危機感が高まったことは、1月16日の総統選挙で民進党の蔡英文主席が圧勝した理由の1つになったとされている。

 黄さんの帰省について、これまでは「3日」などとの情報が流れた。台湾では「出迎え団」が結成され、空港に「台湾の裏切り者」などと書かれたプラカードを持った人が集まった。しかし同日中に、黄安さんが空港に姿を見せることはなかった。

 中華統一促進党を率いる張安楽氏はかねてから黄安が台湾に戻った際には黄安さんと家族の警護をすると表明していた。しかし台湾メディアの中時電子報によると、最近になり「春節の時期に戻ることはないだろう」と述べた。「3日帰省」という情報は、黄安さん側の「ダミー」だった可能性がある。

 なお、張安楽氏は元犯罪組織の幹部で、かつては国民党政権のために反対者を暗殺した疑いを持たれている。米国では違法薬物の密売で有罪判決が確定し、10年間服役した。台湾で1996年に組織犯罪防制条例違反の疑いで検察が動いたと知ると中国大陸に渡った。2013年に台湾に戻ってからは、「統一促進」の政治活動を積極的に進めている。

 黄安さんが7日未明に桃園空港に到着した際、空港警備局は保安隊を導入して黄さんと家族を警護した。黄さんらは、「面談室」に案内され、「中華人民共和国発行のパスポートや中華人民共和国の身分証」を所持していないか検査されたという。

 仮に持っていれば、「中華民国にとっても裏切り者」ということになり、法律上の処罰の対象になる可能性があったが、そのまま釈放されたことから、所持していなかったと考えられる。

 面談室以外では、黄安さんがその他の乗客と隔離されていたわけではなく、機内にいた時から「裏切り者!」、「売国奴!」などの罵声が浴びせかけられたという。

 記事が台湾YAHOO! に掲載されると、コメント欄には黄安さんを非難する書き込みが並んだ。6日早朝に発生した地震で、まだ救出されていない人がいる時期に帰ってきたことを問題視する人もいる。(編集担当:如月隼人)(写真は台湾Yahoo!に8日付で掲載された中時電子報記事の画面キャプチャー)