日本語と中国語(485)


(129)わたくしの年賀状
 こんな年賀状を作りました。

 謹賀新年
 佳い新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
ここまでは例年ほぼ同じ文句です。そのあとに近況を伝える短文を添えます。今年のは、
 運営に携わっている検定試験の用務で地方を訪れる機会が多いのですが ここ二
 三年むかし教室で知り合った若い友人がよく訪ねてきてくれます そろそろ会っ
ておかなくてはということでしょうか(笑)
 以上、縦書きです。

(130)「大吉」――鉄斎のパクリ
 黒字ばかりの印刷では殺風景なので、これも印刷ですが、朱色のゴム印を押します。文字は「大吉」。大和文華館で買った鉄斎の作品をちょっと加工したものです。流行りのパクリですね、えとにちなんでサルまねということにしておきましょうか。

 鉄斎ですか。富岡鉄斎、1836-1924。南画家と言っていいのかな。他に儒学・仏教・詩文・歌道など多方面で新境地を開いた人です。

 最後に平成丙申元旦として、姓の上野を陰刻で、名の惠司を陽刻で押しました。文字は著名な篆刻家の李文新さんのものです。あの田中角栄や中曽根大勲位もこの人に彫ってもらっています。だからといって、わたくしもエライなんて少しも思っていませんがね。

(131)元旦――実はまだ未(ひつじ)年
 二〇一六とも平成二十八年ともせずに丙申としたのは、ちょっと気取ってみただけで特に理由はありません。

 このところ甲午、乙未、丙申と干支を使っているのですが、少し迷いがないわけではありません。例えば今年の旧暦の元旦は2月8日です。ですから、厳密にいうと丙申(ひのえさる)はこの日からで、それまではまだ乙未(きのとひつじ)のはずです。

 わたくしは昭和14年己卯(つちのとう)の年の10月生まれですが、うっかり同年の人に「あなたも卯(う)ですね」と話しかけると、「いいえ、わたしは寅(とら)です」と言われたりすることがあります。旧暦が忘れられた今では、こんな人ももう少なくなりましたが……。

(132)申(さる)はサルにあらず
 以上いずれも印刷したものですが、必ず手書きで一筆添えます。それと宛名の住所と氏名は必ず手で書きます。ですから、本文も印刷、宛名も印刷、近年は少なくなりましたが中にはラベルを貼り付けたものもあり、こんなのを貰うとちょっとがっかりします。まあ見たこともない奥方らしき女性が赤ん坊を抱いてニタッと笑っている写真などを送り付けられるよりはましですがね。

 ところで丙申の申ですが、この字はサルとは本来無関係です。先からあった甲、乙、丙、丁……の十干と子、丑、寅、卯……の十二支の、十二支の方にずっとあとから鼠、牛、虎、兎・・・と動物を当てたに過ぎません。(執筆者:上野惠司 編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)