中国が年内に、西沙諸島(パラセル諸島)の永興島(ウッディー)に軍民両用空港を開設し、全島でWiFi利用可能にするなど、西沙諸島統治の既成事実化をさらに進めることが分かった。同島を所管する海南省三沙市の政策に盛り込まれた。

 永興島にはすでに、中国の軍・警察関係者、漁民などとそれらの家族役1000人が居住しているとされる。中国当局は漁民のために住宅を提供し、2015年には幼稚園と小学校を開設するなどで、同島支配の既成事実化を進めていた。

 中国新聞社によると、2016年には軍民共用の空港、医療救助センターなどを建設する。さらに本土との間に海底光ケーブルを敷設し、島内全域でWiFiの利用を可能にする。

 三沙市は、永興島を含む西沙諸島、南沙諸島(スプラトリー諸島)、中沙諸島(スカボロー礁)を所管する地方政府。ただし、民間人の永住が可能なのは永興島だけとみられる。

 パラセル諸島は19世紀まで、中国とベトナムの双方が利用していた。ベトナムを植民地としたフランスは1930年代に同諸島を支配しはじめた。1950年代にフランスがベトナムから撤退すると、中華人民共和国とベトナム共和国(南ベトナム)の双方が同諸島すべての領有権を主張。東部の島は中国が、西部はベトナムが実効支配するようになった。

 1974年に中国がベトナムを軍事攻撃して駆逐(西沙諸島の戦い)。西沙諸島すべてを支配するようになった。ベトナムは2015年に西沙諸島の戦いで戦死した軍人を顕彰・慰霊する記念施設を建設することを決めた。中国による西沙諸島支配の既成事実化の動きに、ベトナムが反発するのは必至だ。

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◆解説◆
 中国は領有権で外国と意見が対立する島について、具体的な動き以外にもさまざまなアピールを続けている。例えば、南沙諸島、西沙諸島、さらには尖閣諸島についても毎日、自国領としての「天気予報」を続けている。主張の是非は別にして、中国が領土問題について「不退転の決意」を示しつづけているのは事実だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF。西沙諸島の海岸。ペットボトルが放置されている)