陝西省のメディア「華商報」によると、同省商洛市内の複数の診療所で、X線など検査用の機器を導入したが「電源も入れていない」状況が発生している。

 中国の都市部には「社区」と呼ばれる小さな自治区画が設けられている。商洛市市内の少なくとも4つの社区では、X線装置や超音波画像診察機、心電図測定器が全く使えないか、ごくたまにしか使われていないことが分かったという。

 「華商報」によると12日午後から14日午後にかけて、診察施設4カ所を取材した。劉湾社区衛星サービスセンターでは、心電図室と超音波画像診察室の鍵がかかったままだった。勤務していた医師は「診察はできない」、「両方とも技師が交通事故で数カ月前から休んでいる」と説明した。

 大趙峪社区衛生サービスセンターでは、心電図は検査できるが、超音波画像は要予約。X線撮影室はほとんど使っていないので、センターでは鍵も保管していないという。

 陳〓社区衛生サービスセンターでは、X線撮影室のドアに鍵はかかっていなかった。室内では床にほこりがたまっていた。勤務していた医師は「2012年からここで働いていますが、X線は使ったことがありません」と説明した。城関社区衛生サービスセンターでも、X線装置は使ったことがないと説明されたという。(〓は土へんに「原」)

 関係者によると、X線装置や超音波画像診察機、心電図測定器などの機器を使っていないのは、使える人がいないからという。医療スタッフを1年間、研修に出せば基本的な操作は可能になるが、人の手配は困難だ。スタッフを研修に出したが、研修時に用いた機械とタイプが違うため、結局は使えていない施設もある。

 「X線装置は2012年に導入されてから、電源も入れていません」と副所長が説明した診察所もある。また患者が「ここで診てもらってもあてにならない」と、設備のよい病院に足を運ぶことも、「使用ニーズ」が発生しない理由と言う。

**********

◆解説◆
 中国社会はもともと、トップダウンの傾向が強い。地方においてのトップは現地の共産党委員会書記だ。書記が決断すれば、物事が迅速に統一的に進む利点もあるが、現場を理解していないのに、下の者が意見を言うのを憚って問題が出る場合がある。

 設備や施設のの導入については、高額品の購入には熱意を示したトップが、運用や維持には予算を出したがらない例があるという。

 10年前ほど前だが、編者は中国のある地方都市で開催された、ジャズなどの日本人音楽家によるコンサート開催の様子を見たことがある。老朽化したホールだったが、世界的な「ブランド・ピアノ」であるスタインウェイの最高級のフルコンサートピアノが置かれていた。

 同行した日本人調律師は、「ここに、このピアノがあるのか」と驚き、次に状態の悪さに驚いた。長い時間をかけて入念に調整すると、現地の音楽関係者が「このピアノは、こんなすばらしい音色なのか」と驚いた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)