2008年に起きた世界金融危機を乗り切ることができたのは、中国が総額4兆元(約76兆円)の景気刺激策を打ち出したことが大きい。だが現在、中国はその後遺症に頭を悩ませている。景気刺激策などをきっかけに中国では設備投資が過剰となり、さまざまな産業で「生産能力の過剰」という問題が深刻化しているためだ。

 特に中国鉄鋼業界における生産能力の過剰は深刻だ。不動産市場の低迷によって需要も減少していることから、中国の鉄鋼メーカーはだぶついた在庫を輸出にまわしており、2015年1-11月における鋼材輸出量はすでに1億トンを突破している。

 中国メディアの参考消息は英メディアがこのほど、「中国は自国の生産能力の過剰を世界各国に輸出することで解消しようとしている」と伝えたことを紹介。人民元安にふれていることもあり、中国の鋼材輸出は加速していると伝え、15年1-11月の中国の鋼材輸出量は前年比22%増に達したことを指摘。さらに、中国財政部は9日に鋼片と銑鉄の輸出税を引き下げると発表したと伝えた。

 さらに記事は、中国国内では生産能力の調整が進んでいないと伝え、一部の予測として中国の鋼材輸出は暫くの間、年間1億トンを超え続ける可能性があると紹介し、中国が鋼材を大量に輸出し続ける限りは鋼材価格の上昇も見込めないとの見方を示した。

 中国が大量に鋼材輸出を続けていることに対し、一部では「内需不振に陥った中国が、生産能力の過剰という問題を国外に向けて転嫁している」と批判する声があがっている。米国の鉄鉱石・石炭生産会社であるクリフズ・ナチュラル・リソーシズの最高経営責任者(CEO)は「中国は国内で捌けなくなった大量の鉄鋼を狂ったように輸出している」と批判し、世界の市場に悪影響をもたらしている「悪性のウイルス」と批判している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)