モンゴルのツァヒアギーン・エルベグドルジ大統領が9月末、国連総会での演説で同国が永世中立国を目指す構想を明らかにした。中国では同構想を「冷やかに評する」報道が続いている。

 エルベグドルジ大統領はこれまでにも、大胆かつ率直な発言を繰り返している。たとえば2013年11月には訪問先の北朝鮮・金日成総合大学で後援した際、「モンゴルは21年前に非核地帯を宣言した」、「2009年に死刑を廃止した」、「暴政は永遠には続かない」と、北朝鮮批判とも理解できる言い方を盛り込んだ。

 モンゴルは内陸国で人口は少なく中ソ・中ロの二大大国に挟まれて苦労してきた国だ。軍事力を増強するにも限界があり、「平和を徹底的に重視」、「外国の争いには巻き込まれない」、さらに「国際世論を味方につける」ことが国益にかなっていると考えてよい。

 エルベグドルジ大統領の発言は、自らの信念にもとづいたものであると同時に、現実的な選択肢を踏まえたものと言える。

 中国では、モンゴルの「永世中立国」構想に対して冷ややかな評価が強い。中国メディアの「観察者」は16日、「モンゴルが中立国になろうとしても、やはり中国には便乗せねばならない」と題する論説記事を掲載した。

 同記事は、永世中立国として有名なスイスに触れ、同国が金融業などで栄えていることを指摘し、「あえて中立国になろうとすれば、経済がすべての土台になる」と主張した。

 モンゴルについては、工業の発展で多くの国の援助を受けていると指摘。「中国、ロシア、米国だけでなく日本、ドイツ、インドもだ。モンゴルの伝統は『来るものは拒まず』だ」と評し、モンゴル支援に特に熱心なのは日本であり安倍首相だと紹介した。

 同記事は続けて「日本にとって残酷なことに、モンゴルにいくら金をつぎ込んでも、中国のために晴れ着を作っているようなもの」と主張。モンゴルをインフラ整備などで支援しても、最も大きな恩恵を受けるのは中国企業との指摘だ。

 モンゴルが内陸国であるためで、モンゴルが例えば地下資源を日本向け輸出しようとしても、運賃が極めて高くつくという。モンゴルの貿易輸出先で、2013年の金額ベース実績で中国は87.9%を占めていると指摘。ロシアは1.1%、日本は0.4%だったと紹介。

 日本との貿易は増加しているが、中国との関係は比較にならないほど密接と主張し、「中立国であろうとしても、その元手はどこから来るのか、モンゴル人はそのあたりをはっきり見つめるべきだ」と主張した。

 直接は書かなかったが、「モンゴルは永世中立国を宣言しても、中国の意向と矛盾する政策はとれない」と読み取れる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)