中国メディアの観察者網は15日、南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)を巡る問題で、米国の態度は曖昧(あいまい)と主張し、その理由は本当に軍事衝突が発生した場合、米軍が敗北する可能性が高いからと主張する記事を掲載した。

 南沙諸島諸島の緊張が高まったきっかけは、中国によるジョンソン南礁(赤瓜礁)の埋め立てだ。人工島に滑走路を造る意図もほぼ明らかになった。


 米国は15年10月、横須賀を母港とするイージス駆逐艦「ラッセン」を南沙諸島周辺海域に派遣。同月27日には赤瓜礁から12海里(約22.2キロメートル)内を航行させた。

 記事は、米国は「特定の立場を支持しない」と繰り返し表明するなど、中国に対して曖昧な態度を示し続けていると主張。その一方で、「ラッセン」派遣などで国内世論と同盟国には「米国政府には明確な立場がある」と認識させることで、政治的に最大の利益を得てきたと論じた。

 記事は、米国の「曖昧な態度」は中国と戦闘または戦争が発生した場合を計算しているからと主張。戦闘を小・中・大の3つの規模に分けて分析した。

 小規模とは、実際の交戦がない「摩擦戦」から、一時的な空戦が発生する程度の状況を指す。記事はその場合、戦闘機など中国の軍用機は現場空域に到達するために長大な距離を飛ばねばならないのに対し、米国は航空母艦を派遣して対抗できると主張。「五分五分の戦いになる」との見方を示した。

 「中規模」とは米国がグアムまたはインド洋のディエゴ・ガルシア島からB-52爆撃機を飛ばし、フィリピン沖合いまたはマレーシア周辺で射程の長いミサイルを発射して赤瓜礁を攻撃する状況とした。

 その場合、中国側にB-52を阻止する手立てはなく、飛来するミサイルを赤瓜礁において迎撃するしかないと指摘。大部分を撃墜したとしても、1発が命中するだけで赤瓜礁の戦闘能力は失われ、制空権も米軍に奪取される。

 さらに、中国艦隊が現場に接近するのは困難であり、DF-21D(東風21D)ミサイルで米空母を攻撃しようとしても、偵察機などが飛ばせない状況で空母の位置を特定して命中させるのは至難と指摘。

 ただし、米国は戦闘の拡大は望まないので、海南島や西沙諸島、中国本土を攻撃することはないと主張。中国がミサイルや潜水艦で米空母に対する攻撃を続け、空母に損害が出れば、米国にとて極めて大きい打撃となるので、空母はいずれ撤退することになるとの見方を示し、「中国の南シナ海支配は揺るがない」と結論づけた。

 戦闘がさらにエスカレートして「大規模」になれば、中国のミサイルが次々にグアム島を含む米軍基地を攻撃と指摘。基地が機能を失えば、米国が西太平洋で展開する軍事行動能力は失われるとして「軍事的に見れば、中国に最も有利になる」と主張した。

 さらに戦闘規模の小・中・大は個別にあるのではなく、1歩1歩エスカレートしておかしくないと指摘。上記で挙げた大戦闘がさらに「灯を吹き消して、万事休すにする(核戦争を指すと思われる)」となる可能性もあると指摘。そのため、南シナ海の問題で「大戦闘」にまで発展させるのは、極めて非理性的と主張した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Steve Mann/123RF.COM)