中国メディアの新浪網はこのほど、「中国の原子力潜水艦はインド洋の米軍基地を叩き潰す、米オハイオ級は餌食だ」と題する記事を発表した。

 記事はまず、2014年9月に、海賊対策のためソマリア沖に派遣された駆逐艦とともに航行する「093型」原子力潜水艦(商級)と見られる写真が公開されたと紹介。さらにインド海軍によると2013年7月までの数年間に、中国の原子力潜水艦がインド洋に延べ22回出現したという。

 記事は、中国の原潜がインド洋に入っても、インドは「今さらパニックになる必要はない」と主張。インド洋に面するパキスタンとスリランカは中国の友好国であり(解説参照)、通常動力の潜水艦はスリランカに寄港したこともあり、「通常動力の潜水艦だけで、インドに対して一定の脅威になっているから」と論じた。

 記事は次に、インド洋のディエゴガルシア島を紹介。同島にはインド洋で唯一の米空軍基地がある。記事は、米軍の対中戦略では、グアム島だけでなく同島を発進した戦略爆撃機がバングラディシュ上空を通過して中国西南部を攻撃するとの見方を示し、同方面は「中国の防空の弱点」と指摘。「中国には、戦時において米軍のディエゴガルシアの能力を減じる計画が必要」と主張した。

 記事は、中国がディエゴガルシア島を攻撃する場合「標準的な方法」としてはまず、中距離弾道弾と潜水艦からの巡航ミサイル、遠方を飛ぶ戦略爆撃機から発射した巡航ミサイル、さらに戦略爆撃機を接近させての爆撃と3段構えで実施すると説明。

 ただし、中国の爆撃機は内地の基地を飛び立ってディエゴガルシア島を攻撃するには「不適格」であり、中国国内から発射して同島を攻撃できる弾道ミサイルはあるが「高コスト」、「数量不足」などで「理想的な戦術」でないと指摘。そのため「多くの原子力潜水艦を出動させるのが最もよい選択」と主張した。

 記事は、米軍は2010年にオハイオ級原潜をディエゴガルシア島に配備と紹介。同原潜が1454発搭載できる巡航ミサイルは、インド洋で発射してバングラディシュやミャンマーの上空を通過させ、中国内陸部を攻撃できる。

 記事は、オハイオ級原潜の搭載する武器は一般に対潜用ではないと指摘。中国の093型原潜は「インド洋の深海で米オハイオ級原潜を餌食にすることができる」と主張した。

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◆解説◆
 スリランカのラジャパクサ前大統領は中国と極めて密接な関係を築いた。中国はスリランカにおける港湾、道路、空港などのインフラ建設を担うなどした。中国の潜水艦がスリランカに寄港したのも同大統領時代だった。

 ラジャパクサ大統領には、一族絡みの「腐敗」などを指摘する批判が高まった。スリランカ憲法は大統領の3選を禁止していたが、同大統領は憲法を修正して2014年11月の選挙で3選を目指した。

 しかしラジャパクサ大統領は落選し、シリセーナ大統領が当選。シリセーナ政権は、中国の潜水艦の寄港を認めない考えを明らかにした。スリランカはかつてのように「友好国」とは簡単に言えなくなった。

 オハイオ級は、敵国本土や重要施設を攻撃する戦略ミサイル原潜だ。一方の093型原潜は艦船を主な目標にする攻撃型原潜だ。上記記事はそのため、093型原潜でオハイオ級を沈められると主張したと思われる。しかし、中国側が哨戒機もなしで、どうやってオハイオ級原潜の位置を特定できるかは不明。仮に可能とすれば中国攻撃のためのミサイル発射時となるが、その場合、093型原潜はミサイルを撃ち終わって空になったオハイオ級原潜を攻撃することになる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)