米海軍のイージス艦が、中国が南沙諸島(スプラトリー諸島)の渚碧礁(スビ礁)に作った人工島から12海里にまで接近したことで、中国では政府、軍、メディアが一斉に米国を強く非難した。中国メディアの新浪網は、同人工島の周囲は中国の領海と主張。理由を「南沙諸島で2番目の大きさの中業島(パグアサ島)から12海里以内にある」とした。中業島はフィリピンが実効支配している。

 新浪網は記事前半で領海について説明。国際法では、干潮時に陸地が水面上に出ても満潮時に水没すれば「島」とは認められず、「陸地から12海里」の領海の設定も認められないと認めた。

 そのため、「一部のいわゆる海洋法の権威はメディアで、『中国は人工島によって12海里の領海を設定する権利はない』と、思いつきを述べている」と批判。さらに「それらは地図を見ていない“目の見えない者”」と、差別用語を使って罵倒した。

 その上で「渚碧礁に12海里の領海がないとしても、大したことはない。中業島がある!」と主張。「中業島は南沙諸島第2の島であり、中国の合法的領土であるので、国際海洋法により12海里の領海設定権がある」、「中業島は人が生活できる島なので200海里の排他的経済水域も設定できる」などと論じた。

 記事はさらに、「南沙諸島の太平島、中業島、南子島、北子島、南威島、馬歓島、費信島などの岩礁ではない島は、中国の南シナ海の主権にとって重要であり、人工島では代替えが効かない」と主張した。

 中業島はフィリピンが実効支配し、一般住民も住んでいる。太平島(イツアバ島)は台湾(中華民国)が実効支配している。米国製の「C-130」輸送機が離着陸できる滑走路がある。

 南子島(サウスウエスト島)はベトナムが実効支配している。北子島(ノースイースト島)はフィリピンが実効支配している。南威島(チュオンサ島)はベトナムが実効支配している。馬歓島(ラワック島)と費信島(フラット島)はフィリピンが実効支配している。

 中国は南沙諸島で、国際法上「島」と確言できる「自然の陸地」を実効支配していない。中国が実効支配する比較的大きな岩礁としては東門礁(ヒューズ礁)と赤瓜礁(ジョンソン南礁)がある。いずれも1988年のスプラトリー諸島海戦で、中国がベトナムから奪取した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF。ベトナム南部とフィリピンに挟まれた海域に南沙諸島が広がる)