中国メディアの鳳凰江蘇はこのほど、北京大学の葛暁音教授の「文化の保存」についての考えを紹介した。

 葛教授は1993年に来日した際、日本の雅楽について「とても驚いた」という。唐から伝わった音楽であり、曲名などは葛教授も「文献で熟知していた」が、日本では「まだ演奏されている」と知ったからだ。

 葛教授はその後、日本の雅楽と中国の文献を対照して中国文学史などを探求する研究分野を切り開いた。

 葛教授は日本の文化財重視について、「瓦のかけら1片でも国宝のように保護」と主張。中国の場合、残された物が多すぎて「たいした物ではない」と感じがちと指摘した。

 また、近代以降は戦乱や政治上の変動なども大きく、思想面でも伝統文化を軽視した。転売目的に文化財を盗む行為も横行した。

 文化大革命期には破壊された。改革開放後は、土地開発などで多くが破壊された。盗掘などの問題もあり「社会全体に、文化を保護しようとする意識が欠落」と指摘した。

 無形文化財についても、古い詩や古典文学は「われわれが最も自慢とするものです。それなのに、粗末にされてきた」と主張。

 一方で葛教授は「経済が本当の意味で一定の水準に達すれば、状況は少しずつ好転すると信じます」と主張。例として、北京や上海では一般人を対象にする文化講座が極めて盛況になったと紹介した。

 日本の状況については改めて「民間研究家」が極めて多いことに言及。例として松尾芭蕉研究を挙げ、芭蕉が立ち寄った地方ごとに記念館があり、ほとんどすべての記念館で「研究会」が活動していると紹介。

 各研究会は頻繁に討論会を開催しており、「実に真面目で熱がこもっている」と強調。「日本の民衆は精神生活に学問を取り入れるレベルに達した。社会全体の精神文明の度合いは、そこまで引き上げられたのです」と論じた。

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◆解説◆
 中国で「雅楽」とは儀式音楽を指す。しかし日本の雅楽はもともと「燕楽(宴楽)」などと呼ばれた当時の中国上流階級の娯楽音楽が主流だ。

 雅楽の調性(メロディーにおける中核的な音とその他の音の使用パターン)には、「双調(そうじょう)」、「壱越(いちこつ)」などがあるが、中国の古くからの調性の名称とは異なっている。そのため、「唐代に流行していた西域音楽を日本人が持ち帰った」との説がある。

 なお、雅楽には日本で作られたとされる曲もある。例えば「平調越天楽(ひょうじょう・えてんらく)」だ。同曲は民間にも広まり、民謡「黒田節」などの原型にもなった。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Chee-Onn Leong/123RF.COM)