中国では、国産の「J-10(殲-10)」戦闘機の墜落事故が、しばしば発生している。中国の大手ポータルサイト「新浪網」は、ロシア製のエンジンの欠陥とする記事を発表した。

 J-10の初飛行は1998年で中国空軍が運用を開始したのは2005年。当初は西側諸国が同機開発に協力的だったが、1989年の天安門事件で関係が悪化。中国はイスラエルからひそかに技術を購入したとされる。また、ロシアからも技術を導入し、エンジンもロシアから購入することになった。

 採用されたのが、ロシアの「リューリカ=サトゥールン AL-31F」ターボファンエンジンだった。同エンジンは「Mig-29」シリーズなどに搭載された「クリーモフ RD-33」を改良したものだ。

 ターボファンエンジンは、低圧タービンと低圧コンプレッサーを結ぶ軸、高圧タービンと高圧コンプレッサーを結ぶ軸(同心円状に配置)などを持つ。高温で高速回転をして、強大な力学エネルギーの伝達という役割りを担うこれらの軸と軸受けに、まんべんなく潤滑油を行き渡すことが、技術上の難点とされる。

 中国軍で1985年に発生した、飛行中における軍用機のエンジン停止事故の43%が、潤滑性の損失のよるものだったとされる。米軍では「ゼネラル・エレクトリックTF-34」で83年に発生したエンジン停止事故の23%が、同じ原因だったという。

 ターボファンエンジンでは一般に、回転軸の潤滑性が低下すると、警報が出る設計になっている。しかし「AL-31F」では警報が出た時点で潤滑性が相当に失われており、直後に停止してまう場合が多い。これまでにも、潤滑性が低下の警報が出たために飛行中のJ-10がエンジン回転数をできるかぎり絞って飛行場に引き返したが、たどりつく前にエンジンが停止したことがあった。

 中国軍側はロシアに対して、AL-31シリーズの潤滑システムには欠陥があるとして改善を求めている。ロシア側は「設計を改善する」と回答したが、資金不足のために作業は進んでいないという。

 J-10はこれまでに、操縦士が空間感覚を喪失して墜落した事故が1回あったが、それ以外はすべて、エンジン停止による墜落だ。ロシアの「Su-27」および同機をベースにした「J-11」シリーズは双発機なので、エンジン1基が停止しても飛行を続けることができるが、J-10は単発なので、エンジン停止がそのまま墜落事故になるという。(編集担当:如月隼人)(写真は新浪網の上記記事掲載頁キャプチャー。記事内の使用画像は、エンジンが停止したにもかかわらず、奇跡的に帰還に成功したJ-10という)