中国新聞社など多くの中国メディアはこのほど、レバノンでの国連平和維持活動(PKO)に派遣された中国人民解放軍工兵隊の不発弾処理作業中に、爆発事故が発生したと報じた。中国工兵隊の不発弾処理能力を「レバノン派遣部隊の中では最高と公認されている」と伝える一方で、「犠牲を恐れない天性を頼り」に危険な作業を遂行していると紹介した。

 記事は、「中国軍とともに仕事するなど関係のあった外国人」からの7月中旬に聞いた話として、中国軍に対する高い評価を強調した。

 中国軍の工兵隊は、戦乱による不発弾が多く残る果樹園で作業をした。中国軍側と連絡や任務の調整を9年間おこなったという国連関係者によると、極めて危険な作業であり、中国軍が「困難を理由に辞退」する可能性も考えたという。

 しかし、現場に到着した工兵隊は防護服を着用し、上官の指揮に従って作業を開始した。不発弾は爆発しても被害を軽減できる「大きな砂箱」に入れるが、砂箱に入れる前に、小型の爆弾が突然爆発した。

 同爆発で死傷者は出なかった。中国の工兵隊は翌日も作業を続け、担当した果樹園の不発弾撤去を完了したという。

 記事は、中国工兵隊の不発弾処理能力が「レバノン派遣部隊の中では最高と公認されている」と紹介し、最も危険で最も複雑な任務を担当していると紹介。航空機から投下された不発弾の撤去をした際には、「爆弾には信管が残っており、いつ爆発してもおかしくない状態だったが、中国の工兵隊は「犠牲を恐れない天性を頼り」に、地中に埋まっていた爆弾を回収し、搬出したという。

**********

◆解説◆
 PKOは、内戦を含む戦闘行為が終了したばかりの地域に派遣される。外部からの支援、場合によっては強制力なしには平和の維持や回復が困難だからこそ派遣されるのであって、派遣部隊に程度の差こそあれ危険が伴うのは、当然のことだ。

 そのため、日本ではPKOや自衛隊の海外派遣が大きな議論になるが、中国では報道の統制が実施されていることもあり、メディアの反対意見が表明されることはない。中国当局は、軍の海外派遣により、経験の蓄積も得られると判断していると考えてよい。

 中国メディアは、中国軍などのPKOに際しての「犠牲的精神」などを強調するが、これまでのところ、「大量の犠牲者」を出した事例は、それほどない。そのことから、人命軽視とも言える「無茶な活動」は行っていないと判断してよいだろう。PKO関連で中国の派遣員に大きな犠牲が出た例としては、2010年のハイチ地震にともなう津波で、中国人警察官8人が殉職したことがある。

 なお、中国のPKO派遣人数が上位10カ国に入った年はない。1990年代後半から、PKO派遣人員数上位国のほとんどが、いわゆる「発展途上国」だ。PKOで人員を派遣すれば費用が支払われという、財政上の理由が絡んでいる。

 2013年12月末時点のPKO派遣人数はパキスタン(8266人)、バングラディシュ(7918人)、インド(4849人)、エチオピア(6619人)、ナイジェリア(4836人)の順だ(内閣府組織の国際平和協力員、都築正泰氏まとめ)。

 日本のPKO負担金は2014年度(14年7月-15年6月)実績で約9億1700万ドル。負担率は米国(約28.4%)と日本(約10.8)が上位2カ国で、以下、仏、独、英、中国と並ぶ。中国の負担率は約6.6%だ。東アジアでは韓国の負担率が第12位の約2.0%だ。(編集担当:如月隼人)。(イメージ写真提供:/123RF.COM)