上海市出身で香港に住む国際問題研究者の邱震海氏は10日、広東省総工会と南方日報社が主催した講演会で、「日本人は精神が現代化していない」、「中華文明が世界をリードする」などと主張した。南方日報が報じ、中国新聞社、新浪網なども転載した。

 邱氏は他国から学ぶ必要もあると述べつつ「中華文明が世界をリードする」、「中国が周辺国家を率いていく」と論じた。

 日本については、「明治維新で物質の現代化を基本的に完成。制度も一部は現代化。しかし精神の現代化は成し遂げられなかった」と主張。その後、「日本の知識人は思想の現代化の仕事を全くしなかった」、「歪曲した民族感情の支持のもとで膨張主義の道を歩んだ」と主張した。

 戦後には、「ごくわずかな知識人が多少の反省をしたが、経済再建とともに戦争への反省をすぐさま置き去りにした」と決めつけた。

 さらに、「日本の新たな代の政界人」は「戦争への反省がない教育を受けている」ために、「過去の不名誉な歴史をぼやかし、日本が不正義の戦争を発動した本質と根源についての考えが極めて欠落」と批判。

 中国については、世界第2の経済規模になった現在が「精神の内面を鍛えるチャンス」と主張。「中国人は問題を考える時に、高い面に集中する傾向がある。これはわれわれの有利な点だ」と論じた。

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◆解説◆
 最近の中国で、邱氏のような論者が増えていることは非常に気になる。最大の問題は「中国が周辺や世界をリード」との発想だ。まず歴史を回顧すれば、欧米諸国の間では19世紀までに「国家と国家は対等の立場」との認識が確立された。ただし「まともな国家」と認められるのは「文明国」だけで、文明国による非文明国の支配は正当とされた。

 第二次世界大戦後は、「あらゆる国家は平等」との概念が確立された。あくまでも「建て前」であり、実際には大国の意向が優先されているが、大国であっても「建て前からあまりにも逸脱した行動」は許されなくなってきた。

 「中国が周囲を一方的にリード」の発想は、まさに第二次世界大戦で否定された世界観ということになる。極端に言えば「ナチスとどこが違うのか」ということになる。邱氏は、このような発想が「中国脅威論」の根源的な理由であることを、理解していないようだ。

 明治期や戦後の日本の分析については、あまりにも浅薄なので、ここで詳しく論じる必要はないだろう。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)