韓国メディアの東亜日報は17日、2015年に入り、「韓国で最も売れている書籍の著者が日本人の岸見一郎氏である」とし、同氏が古賀史健氏と共著した「嫌われる勇気」が、韓国国内の大型書店において、22週連続で総合ベストセラー本1位を記録していることをうけ、「韓国人達は、日本の哲学者の目で世界を見ている」と報じた。

 同書は日本で出版された「嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え」(ダイヤモンド社)。2013年発行で現在でもECサイトのアマゾンで「倫理学入門」のカテゴリーにおいて売れ筋ランキング上位の人気。ダイヤモンド社のHPには「人生を一変させる新しい古典の誕生!~中略~ なぜ、あなたはいつまでも変われないのか? なぜ、あなたは劣等感を克服できないのか? なぜ、あなたは幸せを実感できないのか? なぜ、あなたは過去にとらわれてしまうのか?―アドラーの幸福論がすべての悩みに答えを出します。~後略~」などと紹介されている。

 記事は、なぜ韓国人が日本の哲学者の目で世界を見ているのか、哲学専攻と出版の専門家らの分析を紹介。専門家は、日本人の知識分野の水準が高いことや、少子高齢化を経験している日本の選択肢が作品の中に込められているほか、韓国の哲学界は厳粛主義が強いからと分析。これらの日本の書籍は、韓国の厳粛主義が強い哲学界の書籍とは違い、韓国人の読者達にとっても「難しい哲学理論を理解しやすく説明されていた」ため、ベストセラー本になったとも伝えた。

 また、韓国のある出版社の関係者は、日本の高度成長期終了後の哲学書について分析しながら、「日本は高度成長期が終わり、複数の社会問題を経験したため、これに対する解答などがこめられた哲学書が数多く出版された」とし、この中でも特に厳選された書籍だけが翻訳され、韓国国内に入ってきているため「関心を集めるのは当然」と述べた。

 しかし記事はこうした哲学書が人気を集めたとなれば、「似たようなコンセプトの書籍が出版されるとの批判がある」と指摘。実際、「お母さんのための嫌われる勇気」や「お父さんのための傷つく勇気」などといった書籍が出版されたとし、今後は、「様々な勇気」をコンセプトに書籍が出版されるのではないかと、冗談まじりの話も出ているほどだと報じた。

 一方で韓国の哲学学界内部から「厳粛主義から変わらなければならない」という声がでているとし、ソウル大学の基礎教育院のキム・ガンシク教授は「哲学の教授達が社会が必要とする哲学的成果を積極的に、国民に伝える架け橋になる必要がある」と述べたほか、西江大学の哲学科のソ・ドンウク教授は「論文を中心に成果を評価しているが、国民に向けた著述活動は客観的に評価していない」とし「このような学界の風土が変わらなければならない」と述べたと報じた。(編集担当:木村友乃)(イメージ写真提供:123RF)