中国共産党機関紙である人民日報系の日刊紙「環球時報」は25日付で、「米中が南シナ海で軍事衝突する可能性が大きい」と題する社説を掲載した。米軍が「挑発」と「侮辱」を続けるなら、「中国軍は尊厳のために戦う」と論じた。

 中国は南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)の永暑礁(ファイアリー・クロス)で、埋め立て作業を本格化した。米軍は監視を続けており、メディア関係者を偵察機に搭乗させての取材も行った。

 中国政府・外交部の洪磊報道官は22日、「無線警告で米軍機を追い払った」と主張。米軍を「極めて無責任で危険な“領空侵犯”」、「国際法を順守し、挑発的な行動を控えよ」などと非難した。

 環球時報の社説は、さらに激越だ。まず、米軍は「間接的にフィリピンとベトナムの支持を得て、中国の島建設に挑発を加えた」、「米軍は中国との『摩擦の臨界点』に迫っている」と主張。

 中国としては「譲れない最低ライン」は埋め立て工事の完成であり、「もし、米国の譲れない最低ラインが中国の埋め立て工事の停止であるならば、米中の南シナ海における一戦は不可避」と論じた。

 さらに、米軍に「中国に“教訓”を与えようという狂った妄想」があれば、衝突の回避は極めて難しいと論じ、「中国軍は尊厳のために戦う」と主張した。

 社説は最後の部分では、論調をやや柔らかくし「米国は中国に、平和台頭の余地を与える必要がある」、「南シナ海の問題は米中関係のすべてではない」と論じた。

 さらに、米軍の方針は米国世論の確固たる支持を受けているわけでないとして、「中国人が常に言う『張子の虎』とは、このような状況を指しているのだ」と論じた。

**********

◆解説◆
 軍事については、毛沢東による「核兵器は張子の虎だ」との発言が有名だ。しかし毛沢東は遅くとも1950-53年の朝鮮戦争時には核兵器を保有したいと切望し、ソ連に核兵器製造の技術供与を要請したという。

 中国は1960年代に核兵器の開発に成功すると、「核兵器の先制不使用」を宣言。道義的な意図によるとされたが、実際には「米国やソ連とは核兵器の質と量で圧倒的な差があり、核戦争が発生した場合、自国は壊滅する」との現実的認識があったとされる。

 毛沢東には「米帝国主義は張子の虎である」、「帝国主義とすべての反動派は張子の虎である」などの発言もある。個別の発言を見れば、相手側の強大さを痛感している場合に「張子の虎」との表現を用いて、自らの陣営を鼓舞していたことが分かる。(編集担当:如月隼人)(写真は環球時報の上記記事掲載面キャプチャー)