中国国防科技信息網(国防科技情報ネット)はこのほど、米国専門紙の情報などにもとづき、米海軍が2022年までに、「F-35」戦闘機が搭載できる対レーダーミサイル「AARGM-ER」の開発を決めたと報じた。

 米軍側が中国海軍の増強を強く意識しているのは確実だ。AARGM-ERはF-35に内蔵される。配備されれば、米空母部隊はステルス機のF-35を発進させ、相手側に気づかれずに相手艦隊の「レーダーの目」をふさぐことが可能になる。

 「AARGM」は、米海軍が1980年代に導入を始めた「AGM-88」のシリーズに属する。AGM-88は比較的初期のA型からD型まではHARM(High-Speed Anti Radiation Missile/高速対電波輻射ミサイル)と呼ばれ、新しいE型はAARGM(Advanced Anti-Radiation Guided Missile(進化型対電波輻射誘導ミサイル)と呼ばれる。

 AGM-88は攻撃目標が発するレーダー関連の電波を探知して進路を決める対地/対艦ミサイルだ。飛行速度はマッハ2程度と高速だ。それでも目標がレーダーの作動を止めた場合は命中精度の低下が避けられないが、相手側の「戦闘の目」を閉じさせることになる。

 AGM-88は自軍と相手側のレーダーを識別する。つまり誘導装置には自軍側レーダーの情報もインプットされており、相手側の手に落ちると、自軍側のレーダーの情報を解読されてしまうと考えねばならない。そのため誘導装置は、着弾にともない確実に破壊されるよう設計されているという。

 米空軍は2016年末に「F-35A」を、米海軍は18年初頭に「F-35C」を配備する計画だ。AARGM-ERははAARGM(AGM-88E型)の改良型で、これまでは90キロメートル程度だった射程がさらに伸ばされるという。AARGM-ERはF-35A/Cのウエポンベイに内蔵される。

 F-35Cが武器類を懸架方式で装着した場合、ステルス性能の低下は避けられない。中国国防科技信息網はAGM-88シリーズがF-35に内蔵可能になることについて「重大な変化」と表現した。中国は「中華版イージス艦」を次々に配備しているが、「レーダーの目」をふさがれてしまえば、もはや戦闘はほとんど成立しない。それだけに、中国軍はAARGM-ERに大きな関心を持っていると考えられる。

 記事はAGM-88シリーズについて、長さの面ではF-35に内蔵する「限界」であり、幅の面では「すでに大きすぎる」と指摘し、弾頭部分やエンジン、翼部分などが全面的に変更される可能性が大きいとの見方を示した。

 中国国防科技信息網は、中国核科技信息与経済研究院、中国航天工程咨詢中心、国航空工業発展研究中心など、中国の国防科学技術分野の重要7機関が共同運営しており、中国では権威の高い軍事技術情報サイトとされる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Kevin Griffin/123RF.COM)