四川省紙の成都日報は15日付で「農業汚染の総量は工業汚染を超えた」と題する記事を掲載した。中国では大規模化した工業活動が深刻な環境汚染を引き起こしているが、同記事は農業活動による各種汚染の方はさらに深刻との見方を示した。

 まず、農村部が「工業汚染とは無縁」であるわけではない。工場が有毒ガスを放出すれば、拡散したとは言え、ガスは農村部にも流れてくる。川の上流で工場が汚水を排出すれば、農業用水も汚染される。

 それと並んで、大量の化学肥料や農薬が耕作地に投入されている。畜産業では、家畜の糞便が「垂れ流し」状態の場所もある。

 中国の農村部で、もうひとつ問題になっている「マルチシート」だ。ビニールの薄い膜で、作物を植え付けた周囲を覆う。雑草の生育抑制、地面の温度や湿度の調整で重宝する農業用品だ。使用後は地面からはがして処分せねばならないが、中国の農業従事者のかなりの人が、手間を惜しんで「そのまま土に鋤きこんでしまう」という。現在のところマルチシートの回収率は10%未満とされる。

 工業汚染の場合、汚染源が工場という「点」であるのに対し、農業汚染では耕地という「面」である違いがある。そのため、汚染の防止はなおさら困難になる。記事は中国政府・農業部の張桃林副部長(副大臣)の言葉を引用。張副部長は「農業の汚染源は面であり、汚染は量も種類も多い。分布も広い。全体的状況は決して楽観できない」と述べた。

 中国では、全国の耕作地の約2割で土壌中の汚染物質が基準以上とされている。主な汚染物質はカドミウム、ニッケル、銅、ヒ素、水銀、鉛、DDT、多環芳香族炭化水素だ。DDT以外は鉱工業により排出された汚染物質以外と考えてよいが、農業による汚染物質と鉱工業由来の汚染物質が「深刻な相乗効果」をもたらす場合がある。

 例えば、化学肥料を過度に使うと、重金属はイオン化し、水に溶けやすくなる。その結果、有毒物質としての活性が高まる。土壌のpHが1下がるごと、つまり水溶液に酸性の性質をもたらす水素イオン濃度が10倍になると、カドミウムなど重金属の「活性度」は100倍になるという。

 汚染の種類は地域により異なり、中国北西部では残留マルチシート、中東部では化学肥料や農薬、南部では家畜からの糞便による汚染が特に深刻とされる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)