中華民国軍人で、日中戦争時には日本軍との会戦にしばしば勝利したことで知られる白崇禧大将(1893-1966年)の息子で、作家として活躍する白先勇氏が10日、台北市内で講演し、日中戦争について中国共産党の説明は現在でも虚偽の部分が残ると指摘した。白氏は「日本人も納得しないだろう」と述べた。台湾・中央社などが報じた。

 白大将は、蒋介石総統と政治面では対立したが、反共や対日総力戦では意見が一致した。白大将は台児荘の戦いや長沙会戦などで、自軍に莫大な損害を出しつつもしばしば勝利して、日本軍に作戦遂行を断念させたなどの実績があり、「中華民国の名将軍」として知られる。

 中国共産党は、毛沢東が日本との全面対決を主張したので、蒋介石も受け入れることになったと主張し続けている。白先勇氏はこの“歴史記述”を「事実ではない」と指摘。当時の状況から、中国軍(国民党政府軍)が共産党の対日戦略を採用することはありえなかったと説明した。

 さらに、当時の戦況について、「日本軍と正面から対決していたのはあくまでも中国軍」であり、共産党軍は側面や後方でゲリラ戦で撹乱するなど「補助的な役割」だったと指摘。にもかかわらず共産党は「小さな勝利を寄せ集めて大きな戦勝」と宣伝してきたと論じた。

 白氏は、日本軍に対する「大きな勝利」として台児荘の戦いを例とした。同戦いで日本軍は1万人以上の死傷者を出した。白氏は、日本にとって明治維新後に陸軍を創設して以来初の大敗であり、“皇軍無敵”の神話を突き崩したと主張。中国側は全国で大いに士気が高まったという。

 白氏は、抗日戦争について、300万人以上の将兵が命を落とすなど、中国軍にとって凄惨な戦いだったと説明。中国における“歴史説明”については「台児荘の戦い」を映画化したり、胡錦濤前共産党総書記が「正面の戦場では国民党軍が戦った。共産党軍は後方で敵を襲った。これが実際のところだ」と述べるなど、改善されつつはあるが、当時の状況を説明する際にいまだに「(都合のよいことだけを)選択している」と批判した。

 白氏は、「中国共産党は日本の教科書が第二次世界大戦の歴史を改竄していると批判し続けている。しかし、自らの歴史記述が大きく偏っているならば、日本人も納得しないだろう」と主張した。(編集担当:如月隼人)(写真はCNSPHOTO提供。白先勇氏。2014年5月撮影)