中国人民解放軍の孫建国副参謀総長は新華社系誌「瞭望東方周刊」の取材に応えてこのほど、尖閣諸島の問題について「われれは断固として、日本が釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)海域を一方的かつ排他的に管理している状況を打破する」などと述べた。

 孫副参謀総長は、尖閣諸島の問題で日中の対立が激しくなった発端を、日本が同諸島を国有化したことと主張。「われれは断固として、日本が釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)海域を一方的かつ排他的に管理している状況を打破する」、「さらに1歩、戦略の主導権を掌握する」と述べた。

 中国中央は、日本政府による同諸島国有化に対抗するために「果断な決断」をしたとして、「公船を断固として釣魚島から12海里以内の海域に派遣し、権利維持のためのパトロールを常態化させた」、「東シナ海に初めて防空識別圏を設けた」ことなどを挙げ、「釣魚島の権利維持について、重大な歴史的突破をした」と主張した。

 孫建国副参謀総長は1952年生まれ。海軍潜水艦学院を卒業し、海軍畑を歩んだ。現在は中国国際戦略学会の会長も務めている。

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◆解説◆
 尖閣諸島の国有化問題の発端は、2010年9月に同諸島付近で操業中の中国漁船を日本の海上保安庁巡視船が取り締まろうとしたところ、同漁船が巡視船に自船をぶつけた、いわゆる「尖閣諸島中国漁船衝突事件」があった。

 その後、石原慎太郎都知事(当時)が、私有地だった尖閣諸島の3島(魚釣島、北小島、南小島)を東京都が購入する構想を発表。中国側の猛反発を受けた野田内閣は「平穏かつ安定的な維持管理」をするためとして、国有化を決めた。

 尖閣諸島の問題で日中両国民が大きな衝撃を受けたのは「漁船衝突・船長逮捕」だったが、中国側は「日本政府の国有化で問題がエスカレート」との主張を繰り返している。なお、同諸島で2番目の大きさの久場島(くばじま)と5番目の大正島は米軍が射爆撃場として排他的に管理している(使用は中断)。中国側としては「自国領内に米軍の軍事施設がある」という“ゆゆしき事態”であるはずだが、言及することはない。

 中華民国(台湾)政府が尖閣諸島の領有権を初めて正式に主張したのは1971年6月11日。同年12月30日、中華人民共和国(中国)政府も、尖閣諸島の領有権を主張しはじめた。

 中国共産党は「反植民地状態だった中国から、外国勢力を追い出し、完全な自主独立を実現した」ことを政権の正統性の重要な根拠としている。したがって、中華民国が尖閣諸島の領有権を主張した場合、中華人民共和国としても座視はできず、「同様に領有権を主張せざるをえない」立場だ。

 日本では1971年、「日中国交正常化」を求める声が盛り上がっていた。台湾当局としては、「中華人民共和国に尖閣諸島の領有権を主張させる」ことで、日中間に「深刻な対立の原因」という“地雷”を埋めておくことになったとも言える。(編集担当:如月隼人)(写真は外務省公開の、日本政府による尖閣諸島についての主張を紹介する中国語版ウェブページ)