「中華イージス」と呼ばれる蘭州級駆逐艦(052C、ミサイル駆逐艦)である「鄭州」が、中国人民解放軍海軍が2014年12月に行った演習の開始直後に、旧式艦に“撃沈”されたことが分かった。中国中央電視台(中国中央テレビ、CCTV)が報じた。

 蘭州級駆逐艦は米海軍のイージス艦ほどではないが相当に高度な指揮・統制システムを備えており、「中華イージス」などとも呼ばれる。14年12月の演習では、ブルーとレッドの2艦隊に分かれ、互いに「撃破」を目指した。詳しく紹介はされていないが実弾を用いたのではなく、相手艦に対して一定の「絶対有利な条件」を満たした場合に、「撃沈」を承認されるルールによるものと考えられる。

 「鄭州」を“撃沈”したのは、1994年就役の「哈爾浜(ハルビン)」。「鄭州」の就役は13年12月で、約20年古い艦に“撃沈”された。「鄭州」はレッド艦隊の旗艦で、レッド艦隊全体としても装備面ではるかに優れていたという。

 演習終了後、「鄭州」の艦長は、逆探知を恐れてレーダー使用を控えていたところ、“攻撃”を受けたと認めた。さらに、もしも空母戦闘群など大きな艦隊として行動する場合、レーダーの不使用はありえないと説明。また、防空機能が十分な艦は「鄭州」だけで、旗艦の安全確保も不十分な状態だったと説明した。

 「鄭州」を撃沈した「哈爾浜」の艦長は、「ブルー艦隊は、まずは頭脳が優勢だった」と説明した。

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◆解説◆
 中国軍はとりわけ秘密主義の傾向が強い。ただし形骸化している面もあり、多くの人が目撃して画像などをインターネットに投稿した事故でも、正式発表では事故発生地点を「某基地」などとすることが多い。

 しかし2000年ごろからは、「どのような目的」で発表したのか、理解に苦しむ情報公開も出てきた。2009年には、ソマリア沖での海賊対策のために出動した中国艦隊で、多くの将兵が船酔いに苦しんでいるとの報道があった。

 「苦労する軍人さん」を紹介したかったとも考えられるが、中国国内でも「大丈夫か?」との声が出た。同件については船酔いしたのは陸戦隊の将兵とされたが、2013年には航空母艦の遼寧の乗組員も、外洋に出た際に多くが船酔いしたとの情報が出た。

 上記の「中華版イージス艦が演習開始直後に旧式艦に撃沈された」事態も、旧式艦の艦長の優秀さを強調する効果があったとしても、「新鋭艦があっけなく撃沈」との情報に国民が不安を感じ、軍の威信が低下する恐れがある。情報を公開した意図は、やはり不明だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供、駆逐艦「哈爾浜」の写真)