中国メディアは10日から11日にかけて、同国のトウ小平副首相(当時)が1978年に来日した際の、日本記者クラブにおける発言を報道した。報じたのは歴史認識と尖閣諸島についての部分で、このところの中国指導部とは異なり「わが領土」とは主張しない、かつての“カリスマ指導者”の様子を伝えた。

 日本記者クラブは、歴代首相や外国の要人らによる記者会見の音声データの公開を進めている。当時の録音を、改めてデジタル化しての公開だ。12日までに26人分を公開し、今後も追加していくという。

 トウ小平氏については、日中平和友好条約締結のために1978年に来日した際の録音を公開した。

 中国の大手ポータルサイト・新浪網はトウ小平氏の記者会見を、動画ニュースとして掲載した。映像はなく音声のみだが、編集して歴史認識と尖閣諸島問題の部分を報じた。

 トウ小平氏は、「中国と日本の人民には2000年の友好交流の歴史がある。悠久の伝統的友情がある」と主張。「友好の長い流れとしっかりとした土台がある。中日間には一時期の不幸な歴史があり、中国の人民は深刻な災難をこうむり。日本の人民も大きな被害を受けたが、2000年余りの歴史からすれば、要するに短い時期だ」などと述べ、「視線は未来に向けよう。一緒に努力しよう」などと、両国関係の構築を訴えた。

 尖閣諸島の領有問題についての質問に対しては「われわれは釣魚島と呼んでいる。名前も違う。この点から、(日中)双方の見方が違うことは確かだ」と述べて記者らをやや笑わせた後に、「(1972年の)日中国交正常化の交渉の際に、このような問題には言及しないと約束した」、「(今回の)平和友好条約の交渉の際にも、このような問題には言及しないと約束した」、「中国人の知恵からすれば、こういう方法でしか出てこない。なぜなら、言及したとたんにはっきりとできなくなる。こういう問題に絡めてあらさがしをして、中日関係の発展を妨害しようとする者が出てくる」と主張した。

 「両国政府がこの問題を避けようと話し合ったことは、比較的賢いことと考えている。こういう問題は放置しても、大したことはない。10年間、放っておいてもかまわない。われわれの世代の者は知恵が不足している。この問題は話しても結論を出せない。後の世代の人は、われわれに比べていくばくかは賢いだろう。そして、最後には皆が受け入れられる形式を見出して、解決することができるだろう」と述べた。(続く)(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)