中国メディアの中広網は9日、「中国の東風31(DF31)ミサイルは絶対に世界の第一級だ」との解説記事を発表した。同記事は米国の戦略核ミサイルの「ミニットマン」には問題点があると主張した。一方、同じく中国メディアの環球網は同日、中国の核戦力は米国に遥かに及ばないとする記事を発表した。

 中広網は中国軍事科学院研究員である杜文龍上級大佐の、環球網は北京航空航天大学で教授を務める、劉江平海軍上級大佐の考えを紹介した。いずれも解放軍の専門家だが、意見は全く逆となった。

 杜上級大佐はサイロから発射する米国の「ミニットマン3」は「地上における機動性で、優位性がまったくない」と主張。逆に「DF31」は車両で運べることから、相手側からの攻撃に対して「生存率が高い。2回目の攻撃では主な、あるいは重要な役割りを果たす」と主張した。

 また、DF31に複数の弾頭を搭載させることについては、中国がすでに獲得している技術からすれば「極めて難しいわけではない」として、軍事的な理由で「望むか望まないかの問題」と主張した。

 一方、劉上級大佐は「大陸間弾道ミサイルでは、数量も射程も、中国と米国には大きな格差がある」と指摘。戦力面で、米国に対抗できると考えるのは誤りとの見方を示した。

 中国では最近、米中の軍事対抗の話題が、多く紹介されるようになった。多くはロシアでの報道によるもので、「米国は憂慮している」といった切り口が目立つ。

 劉上級大佐は、「西側諸国がロシアに対して制裁を行っていることに関係しているのだろう」と指摘。中国を巻き込んで軍事面において米国との対決色を強めさせ「(米国からの)圧力の一部を分担させたいのだろう」との見方を示した。

 劉上級大佐は、「中国は政策として、解放軍は米国を含め、他国や地域が先制核攻撃をしないかぎり、核兵器を使わないことを決めている」ことにも触れた。

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◆解説◆
 中国は「いかなる場合にも、核兵器を先に使うことはない」と主張しつづけてきた。国際的に孤立していた中国が核を保有することで政治面などに及ぼす悪影響を避け、米ソなどと比べれば「質・量ともに極めて貧弱」な核兵器しかない中国にとって、報復攻撃に結びつく先制攻撃は選択できないとの判断があったと考えられる。

 ただし、2012年に発表した国防白書には核兵器の「先制不使用」の文言がなかった。ただし「核の先制不使用の放棄」を表明したわけではない。

 2012年の国防白書は2年ぶりの発表で、前回の2010年版では、「中国は一貫して、核兵器の先制不使用の政策を遂行」としていた。さらにその前回の08年版では「中国はいかなる時、いかなる状況においても、核兵器の先制使用を行わず、非核の国と地域に対して核を使用したり、核で威嚇することはしない」と表明していた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)