中国では4日、長江の三峡地区にある葛洲ダムの閘門(こうもん)で深刻な水漏れが発生したなどとする報道が相次いだ。しかし、三峡通航管理局職員は、閘門の開閉扉の下部に取り付けられているゴム製の「漏れ止め」が交換時期になっただけで、応急修理を始めたが「正常な作業」だと説明した。

 葛洲ダムは長江で「三峡」と呼ばれる部分の最下流にある。長江初の大規模な水利コントロール事業の主要施設として、1988年に完成した。三峡ダムからは約38キロメートル下流にある。

 中国では4日、「葛洲ダム第3閘門で深刻な水漏れ。応急修理を実施」、「葛洲ダムを貫通する水平方向の亀裂が発生」といった記事の配信が相次いだ。交通関連ニュース専門サイトの「中国交通新聞網」は5日付で、三峡通航管理局の職員の話として、一連の記事は不正確と報じた。

 同職員は、「閘門の開閉扉の下部にはゴム製の漏れ止めが取り付けられているが、“寿命”は一般的に6年間」と説明。さらに、「応急修理」に着手したが、「漏れ止めが寿命を迎えた時期に行う正常な作業」と述べた。

 「応急修理」は5日午後1時に始め、10日午後10日には終了するという。

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◆解説◆
 4日時点における葛洲ダムの「水漏れ」報道については誇大な表現があった可能性が強いが、「中国交通新聞網」の記事にも不自然な点がある。ゴム製の水漏れ止めが寿命、つまり交換時期を迎えていたことが事実としても、5日から10日まで実施する作業を「応急修理(中国語では<応急搶修>と表記)」と表現したことだ。

 応急修理とは、機械類などで破損や不具合が発生した際に、問題の拡大を食い止めることを目的とした「急場しのぎの手当て」を意味する。つまり同記事からは、程度こそ不明ではあるが、ゴム製の水漏れ止めに“想定外”の問題が生じたために、応急修理を行ったとの状況が読み取れる。この作業を完全に「正常」というには無理があることになる。

 長江の「三峡」とは。重慶市奉節県の白帝城から湖北省宜昌市の南津関までの約193キロメートルの区間を指す。上流から瞿塘峡(くとうきょう)、巫峡、西陵峡の3つの峡谷が続くため「三峡」と呼ばれる。葛洲ダムは西陵峡の直下にある。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)