中国大陸住民の金門・馬祖・澎湖への観光が、より便利になった。台湾側当局は1日から、同地区での15日以内の滞在について、現地に到着してからのビザ発行業務を始めた。

 2014年12月31日までは、旅行出発前に書類を提出する必要があった。手続き終了まで4時間と、利便性はすでに大幅に向上されていたが、1日からは到着地入境までに、最短で2分間程度で手続きが終了することになった。ただし、コンピュータシステムの導入までに、事前申請では費用が200台湾ドル(約760円)だが、現地到着後では600台湾ドル(約2280円)とする。

 大陸から金門・馬祖・澎湖への15日以内の訪問は、「小三通」制度(解説参照)によるものと位置づけられている。過去3カ月の統計では、同制度を利用して金門・馬祖・澎湖を訪れた大陸人は1カ月あたり6000人あまりだった。2015年には年間7万人あまりが、“ビザ発行の簡素化”の恩恵を受けるとみられている。

 台湾側は、大陸からの観光客増加が現地の観光産業振興と経済発展につながると期待しているという。

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◆解説◆
 金門島は福建省泉州市の沖合い約2キロメートルの島。馬祖島と大陸との距離は10キロメートル強。いずれも大陸に極めて近いが、中華民国(台湾)が実効支配を続けている。澎湖諸島は台湾本島から約100キロメートルの西にあり、大陸よりも台湾本島に近い。

 台湾側は金門島を金門県、馬祖諸島を連江県として、いずれも福建省の一部としている。福建省政府所在地は金門県に置かれている。澎湖諸島は台湾省澎湖県としている。

 中国政府は1979年、台湾当局に対して大陸側との「三通(通称・通郵・通航)」を実現すべきと主張。台湾側は「不接触」、「不談判」、「不妥協」の「三不」と称して応じなかった。

 しかし1990年代になり台湾資本による中国投資が盛んになると、台湾財界からも「三通」を求める声が高まった。

 そのため、大陸・台湾当局は2001年に、廈門・金門島間で客船を就航させ、双方からの人の往来を実施した。大陸と台湾本島の「三通」実現前に始まった、大陸と金門や馬祖における交流は「小三通」と呼ばれた。

 2008年に台湾で国民党の馬英九政権が発足したことで、中国大陸部と台湾本島を結ぶ航空便の運航など「三通」が本格化した。

 海外旅行にかんして、一部の国は特定の対象国国民に対して、自国の空港に到着してから入国審査前にビザを発行している。空港で発行されるので「空港ビザ」との通称があるが、大陸部から金門島を訪れる場合には、船便も利用できる。(編集担当:如月隼人)