中国共産党中央政治局は29日、同党中央紀律検査委員会から2014年の作業の報告を受けるための会議を招集した。同会議は、腐敗現象の蔓延には一定の歯止めをかけることができたなどと結論すると同時に、党内でのグループ結成や徒党を組んでの私利の追求を絶対に容認しないと強調した。党紀粛正や腐敗撲滅運動への抵抗勢力に警戒を強めている可能性が高い。

 会議は2014年の成果として、「形式主義」、「官僚主義」、「享楽主義、」、「贅沢な風潮」からなる「四風問題」と腐敗現象の蔓延には一定の歯止めをかけることができたと結論した。その一方で、「全党は、反腐敗闘争では依然として極めて厳しく複雑な情勢が続いていると冷静に冷めた目で認識せねばならない」と主張した。

 さらに、「党規律の建設について、さらに突出した位置づけをして、規律による例外のない制約を強化し、政治規律と政治規則を厳格公正にする」とした上で、「党内で公然とグループを結成したり、徒党を組んでの私利の追求、助け合うための派閥を組むことは絶対に容認しない」と強調した。

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◆解説◆
 中国共産党の習近平総書記(国家主席)が主導する腐敗撲滅運動は、相当に大きな成果を出しており、庶民の評価も基本的には肯定的だ。しかし、「順調」とは言い切れない面がある。

 例えば、第17期中国共産党中央政治局常務委員(2007年-12年)を務めた周永康氏の場合、2013年12月には消息が途絶えた。同時点で、汚職問題の追及が本格化していたと理解するのが自然だが、中国共産党が同氏を「重大な規律違反で立件」と発表したのは14年7月29日だった。

 中国には31のる省レベル行政区画(省・中央直轄市・民族自治区)があるが、7月29日の「発表」から1週間以内に党中央による同決定を明確に支持したのは18カ所にとどまり、党内の“温度差”を示唆することになった。

 さらに、中国共産党が11月下旬に開催した重要会議であるた第18期中央委員会第4回全体会議(18期四中全会)は、不正で摘発された高級幹部6人の党籍剥奪を決めたが、周永康氏についての発表はなかった。

 問題を起こした中国共産党員にとって、党籍を維持できるかどうかは、極めて大きな意味を持つ。党籍を維持できれば、共産党からいまだに「同志」と見なされており、処罰・処分はされても「復帰」の可能性があるからだ。党籍剥奪は「裏切り者」と見なされ、「共産党の敵・人民の敵」として扱われることを意味する。

 周永康氏の党籍剥奪が決まったのは2014年12月5日だった。つまり、不正追及の本格着手から「徹底的な処罰」が決まるまで1年間を要したことになる。中国では異例の遅さであり、周氏の扱いについて「なんらかの綱引き」があったと考えるのが自然だ。

 「分派活動を許さない」とした12月29日の会議の決定も、「抵抗勢力の存在」を示唆する。

 マルクス・レーニン主義政党は通常、「党内派閥」を強く忌避する。ソビエト共産党の指導者だったレーニンが固めた方針で、武力革命の成功と、国外からの武力干渉に対抗するためだった。軍において、「上部の命令に下部は絶対服従」が求められるのと同様の理由と解釈してよい。

 レーニンは、共産党の「トップ・ダウン」方式を“戦時下”における特別措置と考えてたと見られるが、次の指導者となったスターリンは共産党における「トップ・ダウン」方式をさらに強化し、常態化した。中国共産党が「原型」としたのはスターリンが築いたソビエト共産党だった。

 したがって、中国共産党にとっては「党内に派閥があってはならない」ことになる。党中央の意見に従わなければ、「反逆者」との扱いになる。同党重慶市委員会トップの薄熙来書記が2011年に失脚したのも、「党内の“合意”に背き、毛沢東風の大衆運動を推進した」ことが、決定的だったとされる。

 これまでに、習近平総書記が10月に、「党内での分派活動や利益集団の結成は許さぬ」と発言した例もある。中国共産党内で、本来ならばあってはならない「分派」の存在が、政策遂行の大きな障害なっている可能性が高い。

 なお、中国の李克強首相は、規制撤廃などによる内需拡大を目指した経済改革に取り組んでいる。首相第1期である2018年までに成果を出さねば、自らの政治生命も大きな影響を受けると認識して取り組んでいるとみられる。

 李首相の経済改革に立ちはだかるのは、いわゆる「既得権益層」と考えてよい。一方、腐敗撲滅の対象になるのは「法やルールに違反してまでも既得権益を追及した者やグループ」と言ってよい。その意味で、腐敗撲滅運動については、全体的に言えば習近平主席と李克強首相の利害が一致しているとみなすことができる。(編集担当:如月隼人)