多くの中国人が「日本人は清潔好き」と認めている。「街を歩いても、ごみひとつ落ちていない」と“過分”に賞賛することもある。そんな中国人が「日本のあの習慣だけは、不潔っぽい」ということがある。家庭における風呂の湯の使い回しだ。中国紙の光明日報は「いや違う。日本人は清潔さと資源の節約を両立しているのだ」と紹介した。光明日報は人民日報と並び、中国共産党の機関紙のひとつだ。

 3日付で、北京市社会科学院・陳言氏による署名原稿として掲載した。陳言氏はしばしば、光明日報など有力紙で論説やコラムを発表している。

 日本の人気漫画で映画化もされた「テルマエ・ロマエ」では主人公の古代ローマ人が現代日本の入浴文化を何度も絶賛するが、陳氏もそれに劣らぬ筆致で、日本人の入浴を絶賛した。

 陳氏は冒頭部分で、何年も前に日本を訪れ、友人宅に泊めてもらった時のことを回想した。浴槽の外で体を洗うようになっているのには「戸惑った」という。浴室に案内してくれた友人の妻は、「まず外で体を洗ってから、中のお湯につかる」と説明してくれた。

 浴槽にはすでに、湯が張られていた。陳氏はまず、浴槽を洗おうとして、湯を流してしまった。友人の妻はびっくりして、もう1度浴槽に湯を入れ、「このことは、家の人に知られない方がよい」と言った。

 陳氏は、友人の妻に説明してもらうまで、日本人の入浴法や考え方を知らなかった。まず、日本人は、浴槽の水を捨ててしまうことを「もったいない」として嫌がると知ったという。その上で、風呂の湯の清潔さを保つために、まず浴槽の外で体をしっかり洗ってから、体を湯に浸す。

 陳氏は、「不潔な体でそのまま浴槽に入ることを、日本人は非文明的な行為とみなす」と紹介した。

 陳氏はさらに、日本の家庭では、家族が順番に風呂に入ると説明。「最後の1人が浴槽をきれいに掃除する。場合によっては、次の日にも前日の水を使う」とつけ加えた。

 陳氏は「日本人の入浴の習慣を知らない外国人は、一家で同じ湯を使うことを不潔だと思い、嫌がるかもしれない」と論じた上で、実際には「清潔を愛する日本人の特長を示しているだけでなく、細かいところまで節約をする、環境保護の公共意識の表れ」と評価した。

 陳氏はさらに、日本語には「(風呂の)湯水のように金を使う」との言い回しがあると紹介。この言い回しも、「入浴時には水を節約せねばならない」という日本人の理念を表現したものとの考えを示した。

 また、日本の浴槽は「われわれが普通使うバスタブに比べ、保温性を数倍にも高めている」と、日本では節約や資源保護の理念の実現のために高度な技術が生かされていると説明。熱源としてもヒートポンプを用い、「空気や大地の熱を利用している」と紹介した。

 また、家族全員が入浴した後の水を洗濯に使えるようにと、多くの家電メーカーが、洗濯機が浴槽から直接水をくみ取れるようにしていると指摘した。

 陳氏はさらに「日本人は節約を、面倒でつらいことと思っていない。それどころか、彼らは生活の中で節約を自然に励行している」、「書店でも、節約の秘訣を紹介する本は常に、よい売れ行きだ」などと紹介。

 さらに、「1家が風呂の水を使いまわせば1年間で二酸化炭素の発生を69キログラム抑制できる。費用では7100円の節約」などと、「節約の効果」が宣伝されことにも触れた。

 陳氏は、さまざまなことを背景に、「日本の家庭主婦は、どのように節約しようか、どのように自分の家の二酸化炭素排出量を減らそうかと、懸命に脳を振り絞っている」と紹介。

 さらに「“ドケチ主婦を紹介するテレビ番組もしばしば放送される」などと驚きを示した。

 陳氏は日本の主婦の節約ぶりについて、「消費を過剰に煽り立たてて経済成長をもたらそうという経済学者や起業にとっては、悪夢かもしれない」として、文章を結んだ。

 最後の部分は、これまで中国で続けられてきた「粗放な発展モデル」への批判のように読める。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)