芝浦工業大学は2日、機械工学科の山西陽子准教授が新型の「針なし注射器」の開発に成功したと発表した。同大学によれば、新型の「針なし注射器」は気泡の圧力で試薬や遺伝子を体内に届けることができ、直接皮膚に押し当てるだけで痛みを伴わずに「注射」できるという。

 同大学は新型の「針なし注射器」について、「市販されている従来の針なし注射器はバネの力で液体を高圧で発射するため、神経を傷つける恐れや、多少の痛みを感じるなどの問題があった」とする一方、山西准教授が開発した新型の「針なし注射器」は直接皮膚に押し当てるだけで「注射」することができ、痛みがないうえ、注射技術の習熟度も関係なく使用できると発表した。

 芝浦工業大学によれば、山西准教授は2012年、液体中で電圧をかけることで高速発射されるマイクロレベルの気泡の破壊力を利用して細胞を切開し、試薬や遺伝子を輸送できる「マイクロバブルインジェクションメス」を開発した。

 今回の「針なし注射器」は「マイクロバブルインジェクションメス」を改良したもので、同大学によれば「微細気泡(マイクロレベルの気泡)の高速発射で指向性があるために、局部に精度の高い治療を可能」であり、「マイクロレベルで孔を空けることができるために細胞へのダメージも少なくて済む」という。

 同大学の山西准教授が開発した「針なし注射器」について、中国では称賛と驚きの声があがっている。中国の簡易投稿サイト・微博(ウェイボー)ではある中国人ネットユーザーが「針なし注射器」を紹介したうえで、「世の中のママたちは、子どもが注射の時に泣きわめくことを心配する必要もなくなりそうだ。針なし注射器を開発した女性研究者はまさしく女神だ」などと高く評価したところ、ほかのネットユーザーからも「これこそ科学の進歩だ」などの声が相次いだ。

 コメントの一部を抜粋すると、「これで子どもたちも注射を恐れる必要がなくなるということか。日本人の発明はいつも社会の役に立つものばかりだ」という称賛のほか、「日本人は人類の希望だ」などと持ち上げ過ぎとも思えるコメントもあった。

 同大学では今後、デバイス構造の最適化や試薬の導入量などについての評価を行いつつ、企業と連携を模索しながら「針なし注射器」の実用化を目指すとしている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)