10月10日は1911年に辛亥革命の発端となった南昌起義(南昌蜂起)が発生した日だ。台湾(中華民国)はこの日を建国記念の「中華民国国慶日」として祝っている。日付けに「10」の数字が2つ並んでいるので「双十節」と呼ばれることが多い。中国大陸で「双十節」を祝う「ひそかな、しかし公然たるブーム」が続いている。共産党へのあてこすりだ。一方、台湾では「双十節」を素直に祝う気になれない人もいる。「あれは中国大陸での話。台湾には関係ない」との理由だ。

 BBCによると、微博(ウェイボー、中国版ツイッター)で、いずれも居住地を中国大陸とするユーザーが、「私の身は赤禍のひどい大陸にあるといえども、青天白日にあこがれている。台湾を祝福! 中華民国を祝福! 建国の日、おめでとう!」、「国軍の兄弟(台湾軍を指す)、いつ故国を回復してくれる?」などの書き込みが確認できたという。いずれも、共産党政権に対する「あてこすり」だ。

 現在は、“過激”な書き込みは見つけにくい状態になったが、それでも9日午後4時半現在、「娘は11歳になった。双十節には敏感なのだ。誕生日は繰り上げて祝う。賢く健康にそだちますように。くれぐれも、頭のいかれた五毛党からは距離を置きますように」との書き込みを確認できた。

 五毛党とは、1件あたり5毛(=0.5人民元、8.7日本円)で雇われ、共産党政権に有利な書き込みをする人を指す。「五毛党からは距離を置きますように」と書き込んだ人は居住地を浙江省舟山市と称しており、自らのアカウントのトップページに「赤い布で目隠しをされた男性が並ぶ様子」の写真を掲載している。中国における情報遮断などを皮肉ったと解釈できる。

 「双十節」を祝賀する書き込みは、中華人民共和国建国記念日である10月1日の国慶節ごろから目立つようになった。米国に拠点を置く新唐人テレビは公式ページで「大陸のネットユーザーが国慶節について、『国慶節は中国を夭折させた日。中国共産党が中華に対して禍をなした、国盗りの日』」などと書き込んだと紹介した。

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 台湾では「双十節」が建国の日に定められている。さまざまな公式行事が行われるが、「双十節」を素直に喜べない人がいるという。「辛亥革命は中国大陸での出来事。台湾には関係ない」との理由より。台湾は辛亥革命の当時、日本統治下にあった。日本の統治に対する強い抵抗や日本側の厳しい弾圧は続いていたが、すでにアヘンや纏足の撲滅など社会改革が始まるなどで、台湾は中国大陸とは異なる道を歩み始めていた。

 台湾では、戦後になって「大陸」から持ち込まれたものに反発する人がいる。例えば、西暦と併用されている民国歴だ。辛亥革命の1911年を元年としているので、2014年は民国103年といったようにあらわされる。

 台湾の李登輝元総統は、辛亥革命や抗日戦争で命を落とした軍人を顕彰する「忠烈祠」について「正直に言えば、台湾とは無関係の人ばかり。台湾のために血を流した人ではありません」と発言。ただし、「われわれは人間として、広く人類愛に基づいた考え方で慰霊をするということが大切」との信念にもとづき、総統在任中は定期的に参拝したという。

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◆解説◆
 共産党政権下の中国においても、辛亥革命は「歴史を前進させた」として評価されつづけてきた。また、清朝打倒を推進し、中華民国の臨時大総統に就任した孫文は一貫して高く評価されてきた。

 蒋介石については長い間、否定と非難の対象でしかなかったが、民進党の陳水扁政権が発足した2000年ごろから少しずつ「肯定的評価」が始まった。抗日戦を戦ったことと、大陸と台湾に分かれても「1つの中国」との考え方を貫いたとの理由だった。

 中国共産党が蒋介石の肯定的評価を容認するようになったことが、中国大陸部における「中華民国礼賛」の遠因のひとつになったと考えてよい。(編集担当:如月隼人)