もう、夜半過ぎだった。まどろんでいた。地鳴りのような「ドーン!」という音が聞こえたような気がした。目が覚めた。家じゅうの窓という窓、そしてベッドまでが振動した。最初は、接近が予想されていた台風の突風と思った。違った。再び「ドーン!」という音。こんどははっきりと聞こえた。そしてもう1度……。あわてて外の様子を見た。近くのガス・ステーションだった。紅蓮の炎を受け、未明の空一面が染まっていた。広州日報などが報じた。

 爆発事故が発生したのは広東省従化市農村部のガス・ステーション。所在地である太平鎮の住民は、3回の爆発音で眠りから目覚めさせられた。インターネットの簡易投稿ブログに「ものすごい爆発音が2回続いた。家じゅうの窓ガラスが粉々になった。道の向いのガス・ステーションが爆発した!」と書き込んだ住民もいる。

 現場から約1キロメートルの場所にある消防署からも、ガス・ステーション上方の空が真っ赤に染まるのが見えた。通報を受けるまでもなかった。消防車9台に分乗した消防士約50人が急行した。

 逃げてきたガス・ステーション関係者の話で、事故発生のあらましが分かった。ガスを運搬してきたタンクローリーからステーションのタンクにガスを移している際に、出火した。「こりゃだめだ、危ない」と、逃げ出した直後に爆発した。

 タンクローリーは爆発の衝撃波で上方に跳ね飛ばされた。タンク部分が火を噴いて飛んだ。約100メートル離れた場所に落下した。ガス・ステーションのコンクリート製の平屋建物は壁部分がけし飛んだ。かろうじて柱が残ったので、屋根が崩れ落ちることは免れた。

 敷地周囲を囲む壁はなぎ倒された。置いてあったガスボンベが四方八方に飛び散った。くるくると宙を舞いながら落下した。

 ステーションは緩やかな山に囲まれたくぼ地にある。うっそうとした緑に囲まれていた。タンクローリーから20メートルほどの場所にあった太い木は、幹が根元近くの直径約40センチメートル部分でへし折られた。強烈な熱波を受け、ステーション周囲の山の木々が一斉に燃えだした。

 周辺住民は全員が、爆発発生直後に飛び起きた。山間部の集落で、建物がそれほど密集していなかったことが幸いした。「爆発だ!」、「とにかく逃げろ!」などと、努号が飛び交った。住民らは声を掛け合いながら、ガス・ステーションと反対の方向を目指して走った。

 ガス・ステーションには、爆発したタンクローリーから30メートルほど離れた場所に、長さ約10メートル、直径約3メートルのメーンタンク4基が設置されていた。

 消防の、決死の消火が始まった。メーンタンクに引火すれば、自分たちも吹き飛ばされてしまう。時間との戦いでもあった。最も大きな爆発は最初の3回だったが、その後も断続的に爆発が起こった。消防はひるまなかった。果敢な消火活動が奏功し、しばらく時間をかけて鎮火に成功した。メーンタンクは無事だった。

 ステーション周囲の木々は、ほとんどが焼けつくされた。台風の接近にともない、ぽつり、ぽつりと雨が降ってきた。ガス・ステーションの廃墟を見降ろす山の斜面に、黒焦げになった木がまばらに残った。

 同爆発で、死傷者はでなかった。(編集担当:如月隼人)