台湾の馬英九総統に2013年10月、女性が靴を投げた事件で台北地方法院(地方裁)はこのほど、原告側が要求した社会秩序維護法第85条の適用を退け、無罪を言い渡した。馬総統は民間の宗教行事に出席中で、裁判所は条文が定めている「公務中」との適用条件を満たしていないと判断した。

 馬英九総統は2013年10月20日、台北市内で開催された客家(はっか)人の団体による宗教行事に出席し、祝辞を述べている最中に女性に靴を投げられた。馬総統に靴は当たらなかった。

 検察側は社会秩序維護法第85条に違反したとして、女性を起訴した。

 台北地方裁は、台湾では総統などが宗教行事や各種大会に出席して祝辞を述べることが多いが、総統としての職務として法定されていないと指摘。法で定められている、自治体主催の行事に首長が出席した場合などとは異なり、社会秩序維護法第85条の適用はできないと指摘した。

 同法85条には「公務員が法にもとづき職務を執行している時に、不当な言動や行動をしたが、暴力や脅迫には達していない場合。あるいは屈辱を与えた程度である場合」に処罰が適用されると記載されている。(編集担当:如月隼人)

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◆解説◆
 客家とは漢人の一支流だが、古代中国の中心地だった中原地帯(陝西省、河南省など)から戦乱などにより南に逃れて移住した人を指す。移住先の人から見れば、「新たにきた客人」だったので客家と呼ばれるようになった。客家の移動は紀元前から始まり、清朝になっても続いた。

 客家の人々は、古い中原地帯の習俗や言葉の特徴が残っている場合があるとされる。客家の全世界における人口は約1億2000万人程度と見られている。台湾における客家の人口は、全人口2338万人の約14%とされる。

 客家出身の有名人としては、太平天国の指導者である洪秀全、中華民国初代総統の孫文、中国共産党のトウ小平、シンガポールのリー・クアンユー(李光耀)、台湾の李登輝元総統などがいる。(編集担当:如月隼人)