福建省・晋江市で2日午前6時半ごろ、20トン積みの大型トラックがオートバイをよけようとして急ブレーキをかけたところ、車体がバランスを崩して大きく傾き、積荷の缶入り清涼飲料水約10トン分が道路に散乱した。炭酸入りだったので、缶は次々に“爆発”。事故を見た人が押し寄せた。人々は無傷な缶を目指した。次に大量の蜜蜂がやってきた。蜜蜂は破損した缶を目指した。東南網などが報じた。

 トラックの運転手によると、右折しようとしたところ、前方からオートバイが猛スピードで突っ込んできた。衝突を避けるため急ブレーキをかけたところ、車体がバランスを崩して左に大きく傾いた。衝突と横転は避けられたが、荷台の左側から缶入り清涼飲料水が大量に地面に落ちた。

 清涼飲料水はおおむね3車線にわたって散乱した。炭酸入りだったので、缶は次々に“爆発”した。事故現場周辺で、多くの自動車が急停車。中から次々に人が飛び出してきた。破損していない缶を拾い集め始めた。

 缶は2ダースほどをまとめて、透明なビニールで包装していた。中の缶がすべて無事なのを確認して、したり顔で自分の車に運び込む人がいた。歩道を歩いている人も、放置はしなかった。ガードレールを乗り越えてやって来た。

 ビニールが破れて路上に散乱する缶もあった。人々は無傷な缶を選び、拾い集めた。

 しばらくして、「ブーン」という羽音が聞こえ始めた。蜜蜂だった。甘い香りに引き寄せられたようだ。蜜蜂は、破損した缶に群がった。蜜蜂にも好みがあるらしく、清涼飲料水でも多くの蜜蜂が寄ってくる見向きと、見向きもされない場合があったという。

 晋江市農業局の職員によると、同市には養蜂業者がいるが、花が少ないので蜂が蜜や花粉を十分に集めにくいという問題があるという。清涼飲料水には糖分が多く含まれるため、「飢えた蜜蜂にとって、天から落ちてきた、またとない美食だったでしょう」という。

 トラック運転手によると、積荷の価値は23万元(約390万円)程度で、少なく見ても半数が破損したり持ち去られたという。

 同事故で負傷者は出なかった。蜜蜂に刺されたとの報告もない。

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◆解説◆
 中国では、事故が発生した際に周囲から人が押し寄せ、散乱した積荷を持ち去る事件が多発している。メディアも憂慮し、理由を分析したり再発防止のアイデアを発表する文章を次々に掲載している。上記事件でも東南網は「通りがかりの人の略奪が、またしても発生」と伝えた。

 仮に貧困者であれば、略奪現象も善悪を別にすれば、発生すること自体は理解できる。中国の場合、生活水準を考えれば、後になり法的責任を追及されるリスクをおかしてまで、略奪行為に加わる必要はないと思える場合が目立つ。

 例えば上記事件でも、自動車を運転していた人が次々に略奪行為に加わったという。普段から清涼飲料水を買えない人が多くいたとは考えにくい。

 略奪発生時の様子を詳しく紹介している記事を見ると、最初は遠巻きにしてみているだけだったが、だれか1人が手をだしたとたん、多くの人が「それっ」とばかりに群がる例が多い。

 6月28日に報じられた例では逆に、卸売市場に向かう車からスイカが次々に落ちたところ、通りかかりの人が無傷のスイカを拾って落とし主に渡したところ、周囲にいた人が次々にスイカを拾い集めた。

 中国人は面子(メンツ)を大切にする。仮に、だれも略奪しないならば、自分が最初に「他人のものをぶんどる」ことはしたくない。しかし、だれかが始めれば、自分だけが面子を失うわけではなくなる。つまり自己抑制のロックがはずれてしまう。

 もうひとつ考えなければならないのが、中国人が利益獲得について、強烈な競争心を持っていることだ。自分が損をして他人が得をすることを、極端に嫌悪する。路上に散乱した事故車の積み荷を誰かが奪い始めた場合、道徳心やリスクを忘れ、「いただかなければ損だ」という気持ちが、他国人には想像がつかないほど強力に働くと考えられる。(編集担当:如月隼人)