中国紙、第一財経日報は11日、「政府の三大政策のロジックを整理点検、中国経済の攻めにおけるパターン転換がグレードアップ」と題する解説記事を掲載した。中国政府公式サイト「中央政府門戸網站」はイラスト解説を追加して同記事を転載。中国の各メディアも次々に同記事を転載した。同記事は李克強首相を中心に中国が進めている経済改革の方向性を示すものとして理解されている。

 記事はまず、「今年(2014年)前半、複雑な国内外の情勢により、中国経済は厳しい下降圧力に直面しつづけた」と紹介。中国政府は対処として、どちらかと言えば間接的に景気を後押しする「微刺激」政策を続けてきた。記事は「多くの専門家は、国内外の情勢から判断して、今年後半も経済に対する下降圧力は軽視できない。『微刺激』、『微成長』をさらに1歩、進めるべきだと考えている」と紹介した。

 中央政府・国家発展改革委員会(発改委)の責任者の1人は「今年後半には、産業構造の調整は、『倒産』メカニズムをしっかりと利用し、経済における重大な構造的矛盾を解決する突破口とせねばならない」と述べたという。同責任者によると、経済構造の改革に積極的に取り組み「技術面における先進性、クリーンで安全、高付加価値、雇用創出能力の強い現代産業体系」を導きだすという。

■ 改革ポイントその1「サービス業主導のひな型を出現させる」

 中国では2013年、国内総生産(GDP)における第3次産業の比重が、第2次産業を超えた。14年第1四半期(1-3月)に第3次産業のGDP全体に占める割合は49%に達し、伸び率では第2次産業を0.5ポイント上回った。

 第3次産業の後押しは中国政府の重要政策のひとつであり、李克強首相も今年になり、第3次産業の重要性をこれまで以上に繰り返し強調した。中国共産党政治局会議は7月29日、投資体制の改革、独占傾向の強い業界に対する競争原理の導入と、サービス業の秩序ある開放、製造業の参入制限の緩和に力を入れることを要求した。

 第3次産業中、特に重視されているのが生産分野に密接に関係する「生産性サービス業(Producer Services)」と呼ばれる分野だ。中国政府の公式文書としては6日に発表された「国務院生産性服務業の発展を加速させ、産業構造の調整をグレードアップさせることについての指導意見」が初めて、同用語に焦点を当てた。

 「生産性サービス業」具体的な分野としては、金融、保険、商工業サービス、コンサルタント、広告、市場調査、研究開発、会計、法律、運輸・物流、情報サービスなどがあるという。

 発改委関係者は、「生産性サービス業」の市場参入にあたっての重要なポイントとして、公平な競争環境の育成、社会資本の投入において差別的な障害を設けさせないこと、社会資本がさまざまな方式で生産性サービス業の発展を促すことの奨励などを挙げた。

 国務院発展研究センターマクロ経済研究部の余斌部長は「わが国では都市化率の上昇にともない、消費と産業のレベルが向上した。生活性サービス業と生産性サービス業に対する需要はいずれも、急速に高まる」との見方を示した。

■ 改革ポイントその2「熱をおびる地域戦略」

 記事は改革の第2のポイントとして、各地域の発展問題を取り上げた。まず現状として、地域の発展が多くの客観的要因により制約を受けていると指摘。古いモデルを放棄して、遅れている地域の発展を促さねばならないとした。

 李克強首相は今年になってから、内モンゴル自治区を2回訪れ、西部開発については経済発展の方向を大きく転換させる余地があると述べた。李首相はその後、重慶や瀋陽(遼寧省)にも足を運び、長江水系などを物流経路などとしてさらに活用する「黄金水道」構想や東北旧工業基地の再出発などについて語った。

 発改委も「地域経済の協調ある発展を積極的に推進する」と名づけた文書を発表した。同文書によれば、経済先進地域の中国東部では2014年後半、これまで以上にレベルの高い開放の発展を進め、東部地域を経済成長の重要なエンジンとするとともに、特殊な「安定装置」とする。

 さらに、北京・天津・河北の一体化、シルクロード経済ベルト、21世紀上海シルクロード、長江経済ベルトなどの「4つの重点戦略」に本格着手する。

 ただし、これらの地域発展戦略においては、環境汚染を引き起こす産業を、大河の上流などに移転させないよう、特別に注意することが必要という。

■ 改革ポイントその3「消費と有効な投資を共に重視」

 中国経済において、常に議論されているのが「投資の刺激」と「内需の拡大」のどちらを重視することだ。

 国務院発展研究センターマクロ経済研究部の余斌部長は、「データからみれば、消費が次第に、経済成長を牽引(けんいん)する主要な力になりつつある。投資、消費、輸出という構造からみれば、外需が経済成長に貢献する割合は明らかに下降している」と述べた。

 今年前半では、最終消費のGDPに占める割合は前年同期比で0.2ポイント上昇して52.4%に達した。

 ただし、余部長は「消費の伸びを重視することは、投資を軽視してよいということではない」と主張。一方で、投資は伸ばせばよいというものではなく、「重要なのは投資の有効性」であり、消費を伸びに結びつくような投資を進めていくことが求められるという。

 国務院は4月2日、小規模企業・零細企業に対する法人税優遇政策の対象を拡大した。さらに、都市再開発や鉄道建設に対する金融の支援がスムーズに進められるよう、投資体制の改革にも着手することを決めた。同月23日には、インフラ建設の分野に対しても、社会資本が参画しやすいような政策を打ち出した。

 中国では製造分野や不動産業への投資が縮小しつつある。その一方で、インフラ関連の投資は安定して伸びて、製造・不動産分野への投資の縮小を補う効果を発揮している。特に、鉄道関連の投資は加速しつつあるという。(編集担当:如月隼人)