韓国紙「東亜日報」によると、北朝鮮情報筋が「北朝鮮の代表団は7月、中国・河北省にある国家遠隔センター主管の研修課程に参加し、中国が開発した全地球測位網(GPS)である『北斗』の活用法について集中教育を受けた」と語った。

 北朝鮮の技術チームが、中国版GPSである「北斗」の技術研修を受けたことで、従来、慣性誘導方式であった弾道ミサイルの誘導方式が衛星誘導になり、命中精度が格段に向上する可能性が出てきた。

 例えば、中距離弾道ミサイルであるノドンの誘導方式は、短距離弾道ミサイルR-17(スカッド)が搭載している3基のジャイロスコープが1組になった慣性誘導装置を使用している。

 FAS(全米科学者協会)によると、最近、北朝鮮版R-17で平均誤差半径(CEP)が50メートル、ノドンはCEPが190メートルと判明したという。

 CEPとはミサイルや爆弾の命中精度を示す数字で、FASは北朝鮮のミサイルついて、「Previously thought to be several thousand meters(かつては数千メートルと考えられていた」と記載した。また、ノドンのCEPは従来2000メートルだった。北朝鮮は民生用のGPSを転用してCEPを向上させている可能性があるという。

 ノドンが慣性誘導方式から衛星誘導方式に改修された場合、命中精度が格段に向上することになり、我が国にとって大きな脅威となる。

 一方、中国にとっては、ミサイルの誘導という中枢部分を自国の衛星に依存させることで、北朝鮮軍のミサイルの使用をコントロールすることができるというメリットがある。(執筆:宮田敦司/編集:如月隼人)

【プロフィール】
宮田 敦司(みやた・あつし)
1969年生。日本大学大学院総合社会情報研究科博士後期課程修了。航空自衛隊資料隊にて13年間にわたり資料収集及び翻訳に従事。退職後、ジャーナリスト、フリーランス翻訳者。著書に『中国の海洋戦略』(批評社)ほか。