中国のネットメディア「華声在線」は22日付で、「中国・ミャンマーの戦略的鉄道建設計画が頓挫(とんざ)、日本のが妨害に暗躍した可能性を排除できず」と題する記事を発表した。記事は中国の雲南省昆明とミャンマー西部チャウピューを結ぶ鉄道の建設計画が頓挫したことを紹介。ミャンマー政府内部や住民による反対が強かったことを紹介したが、日本が陰で妨害した可能性を強調した。

 記事は冒頭部分で、1995年にマレーシアのマハディール首相(当時)が、中国、ミャンマー、ベトナム、ラオス、タイ、カンボジア、マレーシア、シンガポールを結ぶ鉄道網建設を提唱したと紹介。中国と東南アジアを結ぶ鉄道建設は、東南アジアの指導者がまず提唱したものとの主張を込めたと考えられる。

 ただし、現在では約15年前と比べ、多くの人が「中国は対外関係のスタンスを変えた」と感じていることについては触れていない。

 雲南省昆明とチャウピューを結ぶ鉄道建設計画が初めて発表されたのは2010年だった。チャウピューはミャンマー西部にあり、インド洋に臨む重要な港街だ。中国とチャウピューを結ぶ鉄道があれば、中国からインド洋に出る際に、マラッカ海峡を通らず、陸路で比較的大量の物資を輸送することが可能だ。

 そのため、同鉄道は経済だけでなく、軍事面でも大きな意義を持つとされていた。中国鉄路工程総公司とミャンマー政府鉄道輸送省は2011年4月、同鉄道建設についての覚書を交わした。同覚書は、「建設資金は200億ドル(約2兆280億円)で、中国側が大部分を調達」、「鉄道は2015年までに完成」、「鉄道の運用開始後は、中国は50年間の運営権を有する」などの内容が盛り込まれていた。

 記事は次に、日本政府が今年(2014年)3月、ミャンマーに対して鉄道建設などのため、78億元の無償援助を行うことを表明したと紹介。ミャンマーを訪問した岸田文雄外相による「ミャンマーは東南アジアと南アジア地区につらなり、戦略的に重要な国」、「ミャンマーは歴史的に、親日的な国だった。両国関係の強化は重要な意義がある」の発言を紹介。

 さらに「岸田外相ははばかることなく、日本の(ミャンマー支援の措置)を中国を牽制するものと発言。『(中国が)東シナ海と南シナ海の現状を変更しようとしていることを見るにつけ、日本とASEANは航行と飛行の自由を確保することで、共に繁栄していく』と述べた」と日本政府の方針を批判的に紹介し、昆明とチャウピューの鉄道建設が頓挫したことについて「日本が陰で妨害した可能性が極めて高いとする分析がある」と論じた。

 中国による鉄道建設については、ミャンマーのアウン・ミン鉄道相が5月24日「昆明とチャウピューを結ぶ鉄道建設プロジェクトは、住民の同意を得ていないので、着手できない」と表明。アウン・ミン鉄道相にはそれまでにも別件で、中国との協力事業に疑問を示す発言があったという。

 また、ミャンマーでは別の政府官員からも、「中国が主要な出資者であり、建設に大きく関与したとしても、運営権が50年というのは長すぎる」との批判の声が出ていた。

 記事は、建設予定地の住民が反対を訴えて、政府に繰り返し抗議していたことや、野党から「議会の承認を得ていないプロジェクト」との指摘が出ていたこと、メディアも「中国はインフラ建設の名目で、ミャンマーの内政に干渉し、国家の安全を脅かす」との批判が出ていたと紹介した。

 記事はさらに、中国側関係者の発言として「中国側はミャンマーの人民の声に耳を傾ける。ミャンマー人民の意見を尊重することが出発点だ。そのため、同プロジェクトをいったん延期した」と紹介した。

 同記事は、鉄道建設についてミャンマー国内で多くの反論が存在したことを紹介する一方で、「日本による陰謀」との見方を強調した。

 同記事を紹介した中国の微博(ウェイボー、中国版ツイッタ)には、「日本の妨害」を前提とする、「日本はわれわれのするよいことを見逃せないのさ」、「これで再び、日本製品ボイコットの運動が起きるかな」などの書き込みが寄せられた。

 しかし「自分(中国)はダメだと言っているわけ」、「パートナーというのは裏切るものだよ」、「中国も、妨害に出るからね」といった意見もある。(編集担当:如月隼人)