台湾の馬英九総統が民進党を「口では『台湾を愛す』といいながら、いざとなったら腰砕け」などと非難した。日本で24日に始まった台湾の国立故宮博物院の特別展で、日本側が作成した一部ポスターなどで、同博物館の正式名称から「国立」(本記事下部の「お断り」参照)の部分を抜かしていたことが問題となった件で、民進党から「中国に対しては迎合してデレデレ。日本には必ず反発」などと批判が出ていた。なお、同博物院の馮明珠院長が2011年に中国大陸を訪問した際(当時は副院長)には同博物院は「台北故宮博物院」と紹介されたが、抗議はしなかった。

 台湾の国立故宮博物院は東京国立博物館と九州国立博物館(所在地・福岡県太宰府市)で、これまで「門外不出」だった所蔵品をも公開する特別展を開催することになり、日台双方で準備を進めていた。ところが日本側が作成した一部ポスターなどで、同博物館の正式名から「国立」の部分を抜かしていたことが問題となった。

 国立故宮博物院側は、正式名でないポスターなどを使い続けた場合、特別展の中止もありうると強く抗議。日本側が、問題とされたポスターを撤去するなどの対応をしたため、中止という最悪の事態は避けられた。

 同特別展では、これまで「門外不出」だった「翠玉白菜」や「肉形石」の公開が、一部期間だけではあるが決まっていた。台湾側が日本に対して「前代未聞の厚意」を示していただけに、後味の悪いトラブルとなった。

 国立故宮博物院の馮明珠院長は抗議について、台湾政府の圧力を受けたわけでないと説明。馬総統らの支持を得ていたが、博物院の意思で行ったと説明した。

 しかし台湾では民進党などから「政府の措置は日台関係を傷つけた」、「馬総統は、中国に対しては迎合してデレデレ。日本には必ず反発」などとの批判が出た。

 馬総統は24日、民進党の批判に対して「そういう人らは、口では『台湾を愛す』といいながら、いざとなったら腰砕け。歯がゆいかぎり!」、「そのように日本と立場を同じにすることは、国家の尊厳を顧みない心理状態だ。非常によくない。厳しく叱責されるべきだ」などと猛反発し、非難した。

 国民党中央委員会文化伝播委員会(文化伝達普及委員会)の陳以信副委員長も「民進党の媚日心理は、とても残念だ」と、民進党を批判した。

 特別展の予定通りの開催が決まったことを受け、馬英九総統は「(台湾)政府の適切な措置により、日本側は問題のポスターとチケットを直ちに撤去または交換した。日本の東京博物館も公開謝罪をして、予定通りに特別展を開催することになった。日本の民衆は熱烈に歓迎している」、「故宮の国宝の日本における展覧が順調に成功し、日台の文化交流で新たな1ページが開かれることを願っている」などと述べた。

 なお、同博物院の馮明珠院長が2011年に中国大陸を訪問した際(当時は副院長)には同博物院は「台北故宮博物院」と紹介されたが、抗議はせず、にこやかな顔つきで記者会見に臨んだ。今回の日本における特別展の予定通りの開催が決まった後の記者会見で馮院長が涙を見せたことから、「日本では涙。中国では『国立』の文字がなくても笑顔」などと批判する声が出た。台湾側はこれまで、「国立故宮博物院」が中国大陸部で「国立」なしで紹介されても、抗議はしなかった。

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 特別展は「台北 国立故宮博物院-神品至宝-」の名称で、東京国立博物館で6月24-9月15日に開催。当初の2週間は、ヒスイの自然な色合いを生かした「翠玉白菜」も公開される。同作品はこれまで台湾外で公開されたことがなかった。

 九州国立博物館では10月7日-11月30日の開催。「翠玉白菜」の展示はないが、国立故宮博物院では並んで人気のある「肉形石」が、当初2週間に限って展示される。同じく、国立故宮博物院の「門外不出」だった逸品だ。

 台湾の国立故宮博物院が収蔵する文化財は、日中戦争時に中国の指導者だった蒋介石が、北京の故宮博物院の収蔵品を厳選して「疎開」させ、共産党との内戦で敗色が濃厚になった時点で、台湾に運ばせたもの。歴代王朝が秘蔵していた貴重な文化財が極めて多い。

 北京にも故宮博物院があり、貴重な収蔵物も数多いが、台湾の国立故宮博物院と比較すれば、「相当に見劣りする」とされている。そのため「北京の故宮の価値は入れ物(=建物)にあり、台湾の故宮の価値は中身にある」などの言い方もある。

※お断り:
 台湾では「国立故宮博物院」の「国」の部分に旧字体が用いられています。弊サイトでは異体字について「本来は同一の漢字。表記の形が異なるだけ」との認識にもとづき、日本の常用漢字の字体を優先して使用しています。そのため、同博物館名称についても、字体は日本の常用漢字に統一しています。

 なお、中国大陸やシンガポールで用いられている略字体(簡体字)も、日本の常用漢字に直して表記しています。(編集担当:如月隼人)