台湾・民主進歩党(民進党)内で、台湾共和国の建設を目指す「台独綱領」を凍結するよう求める動きが本格化した。民進党は7月20日に党の最高意思を決定する党代表大会を行う。同大会における議題提出では通常、20人以上の賛同が必要だが、「台独綱領」凍結を求めるグループはすでに40人の署名を集めた。中国新聞社が報じた。

 「台独綱領」凍結要求の起草者は元立法委員の陳昭南、郭正亮の両氏、政府大陸委員会前副主任の童振源氏、美麗島電子報副会長の呉子嘉氏ら。発起人には党代表の許錦構、易錦隆の両氏がなった。

 民進党代表大会での議題提出には通常、20人の賛同が必要だが、すでに40人の署名を集めた。

 民進党の発足は1986年で、当初はさまざまな綱領中でも「台湾独立」は相当に大きな比重があった。しかし90年代になると環境問題や反原発、人権などを重視するようになった。99年には、「すでに主権国家であるという台湾の現状を変更するには、前住民投票が必要」とする台湾前途決議文を採択し、当初からの主張である「台湾共和国の建設」から、1歩後退することになった。

 「台独綱領」凍結要求の起草者の一人である陳昭南元立法委員は、2000にも同じ提案をしたが、陳水扁主席(総統)の反対で撤回させられたという。

 陳元委員は18日、「台独綱領」はすでに、票集めの道具にしかなっていないとの考えを示した。さらに、実際には2012年の総統選で国民党の馬英九候補(現総統)に敗北したことで分かるように、自党が再び政権を奪回するための障害になっているとの見方を示した。(編集担当:如月隼人)

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◆解説◆
 民進党の原点は「民主化を求める市民運動」であり、政治思想を「右」か「左」で分類するとすれば「左」に属する人も多い。その点で、日本の民主党に近い性格を持つともいえる。

 また、国民党の独裁への反対勢力が結集してできた政党であるだけに、党内には事実上の派閥が多く存在する。本来は政治理念の違いにもとづく派閥だったが、現在では「ほとんど違いがない。権力争いをしているだけ」との批判もある。

 民進党は、「理念を先行させるあまり、現実離れした政策を掲げる」場合もあるとされる。例として、現行の「中華民国憲法」にについて、「民主的なプロセスを経て成立したものでない」などとして、否定的な立場であることが挙げられる。憲法改正のハードルが極めて高く、国民党との勢力バランスを考えれば、少なくとも現状では不可能だ。

 「憲法問題」については、同党の「重鎮」であり行政院長(首相)の経験もある謝長廷氏も「内容を見れば、人権面についても問題になる部分はない。むしろ、違憲的な動きの多い国民党に現行憲法をしっかり守らせる働きかけをすべきだ」などと述べ、同党は「憲法否定」を改めるべきと主張している。

 民進党はしばしば、国民党を「非民主的」と批判するが、自らが憲法を否定しているため「憲法違反」、「憲法の精神に背いている」といった追及ができないなどで、「政治的突破力」を減じているという状況がある。

 「台独綱領」の凍結についても、現状で機能していない綱領を強調していたのでは不利との考えがある。凍結要求派も、「台湾前途決議文」については言及していないことから、大陸に併呑されることを望んでいないのは明らかだ。

 中国大陸側が民進党との対決姿勢を崩さない最大の理由は「台独綱領」の存在だ。台湾では2016年に総統選が実施される。仮に、「台独綱領」の扱いで現状を維持し、民進党候補が当選した場合、中国大陸側と台湾の間で緊張が一気に高まると考えられる。(編集担当:如月隼人)