中国人民解放軍の公式サイトである中国軍網は18日「軍は絶対に腐敗分子を隠れさせてはおかない」と題する文章を掲載した。歴史をみても腐敗は敗北の主要な原因になると指摘。軍は自浄のための真剣な努力を継続していると主張した。

 文章は冒頭で、明(1368-1644年)が清(1644-1912)に滅ぼされた最大の原因は「将官は不正蓄財に励み、士卒は命を惜しんだ。腐敗が骨髄までしみこんでいたこと」と指摘し、「驚くばかり」と表現した。

 さらに「大清も、大明がほろんだ教訓を軍の統治のための経験とすることは、ほとんどなかった」と主張。西洋列強や日本との戦争に敗れた大きな原因が腐敗にあったことは、「だれにも否定できない。どんな口実でもごまかすことはできない」事実と指摘した。

 中国人民解放軍とは中国共産党が築き、指導する軍隊であり、「全身全霊をもって人民のために奉仕することが宗旨だ」として「腐敗を容認する余地はゼロ」と主張。その証拠のひとつとして、中華人民共和国成立よりもはるかに早い1920年代から30年代にかけても「公金を400元以上着服したものは死刑」などの規則を定めていたとと論じた。

 共産党が国民党に戦勝した理由としては「飛行機や大砲に頼ったのではない。清潔だったからだ。清潔だったから民心を得ることができた」と主張。中華人民共和国成立以降も軍は「反腐敗工作」を怠ることなく続けてきたと論じ、不正を行って処罰された軍幹部の名を多く挙げ「反腐敗の鉄拳を下した」実例とした。

 習近平政権の発足前後からの動きとしては、勤務中の禁酒や贅沢禁止を定めた「軍十条」、国内ブランド車の使用、不正に取得した住居の没収、公用車の使用制限、会議の縮小など、軍における費用を大幅に削減したと主張した。

 さらに軍内の調査制度や財務規範化の制度、会計制度の改革などを設け、「軍幹部が法にもとづき決定をすることや、規則通りに権力を用いること、自律的に清廉さを保つこと」など、「腐敗を予防し懲罰する制度を不断に改善している」と論じた。

 文章は改めて「腐敗分子を取り除いてこそ、軍の戦争遂行能力はさらに高まる」と主張し、最後の部分を「軍は絶対に腐敗分子を隠れさせてはおかない。これは気概であり責任であり、さらには共産党と人民に対する忠誠だ!」と結んだ。

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◆解説◆
 共産党と国民党が対決していた時期、国民党側に目にあまる腐敗があったことは事実で、米国が国民党に対する支援を打ち切った一因だったとされる。

 ただし、中国共産党側でも腐敗問題は多発しており、共産党が「絶対的に清潔だった」と言うよりも「国民党よりは清潔だった」とみなすべきとの声も多い。

 例としては、日本が満洲事変の結果として満州国を成立させた1932年、江西省の中華ソビエト共和国では共産党幹部が地位を利用して公的財産を私物化、共産党支配地域外との密貿易、他人の妻をわがものにするために夫を殺害したなどの罪で、死刑に処せられた。

 中国における「腐敗撲滅」の特徴としては、「集中的に実施した時期には多くの不正が明るみに出て、死刑を含む厳しい処罰がなされる」が、しばらくすると、「以前と同様の不正が、再び横行する」ことがある。

 中華人民共和国発足直後の1951-53年まで実施された大規模な綱紀粛正運動に「三反五反運動」がある。「三反」とは国家機関および国営企業、「五反」は民間企業に対する運動目標だが、そのすべてが現在にも適用できることには、驚きあきれるばかりだ。

 60年以上経過しても同一の問題が解決できないということは、「体制や人々の考え方の本質的部分に問題があり、反腐敗キャンペーンだけではとても解決できない」との見方も成立することになる。

「三反五反」の内容は以下の通り。

【三反】=「反汚職」、「反浪費」、「反官僚主義」

【五反】=「賄賂を贈るな」、「脱税をするな」、「仕事の手を抜き、原料をごまかすな」、「国家財産を盗むな」、「国家の経済情報を盗むな」

 なお、「五反」の最後で示された情報絡みの不正だが、最近では企業家による会計などについての不正も出現している。また、政界上層部が地位を利用して株式などのインサイダー取引を行う問題も取り沙汰されることがある。中国では社会の前進に伴い、「腐敗のネタ」の範囲も広がってきたと言わざるをえない。

 中国で現在、特に注目されている「腐敗の分野」としては、石油・電力などエネルギー分野、軍関連、教育、不正の監視部門などがある。過去数年に注目された分野としては、道路など陸上交通のインフラ建設、住宅、鉄道などがある。(編集担当:如月隼人)