中国政府・審計署は16日、中国西部で発電した電力を東部地域に送電する「西電東送」プロジェクトについての監査結果を発表した。送電会社の国家電網と南方電網について、各種の問題がある金額は66億8300万元(約1094億4000万円)に達した。経済参考報は、「反腐敗の嵐の風向きが、ついに電力ネットに」などと表現した。中国政界で、「電力閥」の代表とされるのが李鵬元首相だ。首相周辺が電力分野における腐敗摘発「最終標的」との見方が出ている。

 審計署は日本の会計検査院などに相当する政府機関。「西電東送」プロジェクトについては、調達は入札関連で問題のある資金の動きが多かったと発表した。虚偽の領収書を誓って建設資金から13億8100万円(226億2000万円)を抽出し、“各種ボーナス”などに使用していた例もあったという。

 習近平政権が続けている腐敗撲滅運動では、中央から派遣された調査チームが地方における不正を摘発する例と、分野ごとに「芋づる式」に不正を行った者が摘発されるケースが目立つ。「芋づる」式の場合特に、最終的に「どこまでの大物が摘発されるのか」が注目される。

 これまでのところ、胡錦濤政権における中国最高指導陣の1人で、石油閥の代表的人物であり江沢民元国家主席との関係が強かった周永康氏が公の場から姿を消し、取り調べを受けているとみられる例や、前中央軍事委員会副主席で、解放軍内のナンバー4の地位にあった徐才厚氏が取り調べを受けているとされる例がある。

 中国政界で、「電力閥」の代表とされるのが李鵬元首相だ。李元首相の長男である李小鵬氏は電力会社の華能国際電力開発公司や中国華能集団の総経理(社長)などを経て政界入りし、現在は山西省省長。娘の李小琳氏は中国電力国際発展有限公司、中国電力新能源発展有限公司の董事長(会長)などを務めている。次男の李小勇は1998年、シンガポールに移った。1998年に発生した汚職事件に関与しており「難を避けるためだった」との見方がある。同事件では有罪判決で死刑を執行された被告もいた。

 李元首相もモスクワ科学動力学院で水力発電を専攻した関係で、中央政界入りする前には電力の仕事をしていた。首相在任時の1994年に反対を押し切って三峡ダム着工に踏み切った際には、家族など周囲に電力関係者が多いことから、「利権問題が関係している」などの見方も出た。(編集担当:如月隼人)